コロナ禍の米国で新業態開発の兆し!? 外食チェーンが食材販売へ
外食チェーンが「食材」を販売へ!
苦境に立たされている外食産業だが、この状況をただ静観しているわけではない。一部の外食チェーンでは、危機対応策の一環として、調理用に仕入れた食材の販売に乗り出している。
全米で約2000店舗のベーカリーカフェを展開するパネラ・ブレッド(Panera Bread)は、4月8日から自店で扱う食材の販売を全店舗で開始した。通常メニューのサンドイッチやスープに加え、パンやベーグル、牛乳、ヨーグルト、トマト、アボカドといったサンドイッチに使用する食材をネット注文のメニュー追加。商品の受け渡しは通常メニューと同様、店内かドライブスルー、もしくは宅配で行う。
パネラ・ブレッドがこの取り組みをスタートした同日、日本でも事業展開するサンドイッチチェーン大手のサブウェイ(Subway)も、約250店舗で食材販売のテスト展開を開始した。レタスなどのカット野菜やハム、チーズ、冷凍スープも扱っており、購入方法や受け取り方はパネラ・ブレッドと同様で、店内やドライブスルーでの受け渡し、自宅までの配送が選べる。
ピンチを新ビジネスのヒントに
急増する需要に対応が追い付いかず、米ネットスーパー各サービスは発注から商品の受け渡しまでに数日を有する状態が続いている。だが、パネラ・ブレッドやサブウェイでは、注文当日の商品受け取りが可能となっており、新たな食材販売のチャネルとして注目を集めている。また、ハンバーガーチェーンのファドラッカーズ(Fuddruckers)では、食材に加えて店舗で使用しているトイレットペーパーや漂白剤、手袋等の日用品を販売するなど新しい動きもみられはじめている。
こうした米外食チェーンの動きについて、三井物産戦略研究所の高島勝秀氏は「かつてスーパーマーケットが店内にレストランを併設させる『グローサラント』が注目を集めたが、今回の外食企業の取り組みはその“逆バージョン”とも言える」と指摘する。
これらの取り組みは、窮余の一策として打ち出された施策であり、その成否は現段階では明らかになっていない。だが、「将来に向けて外食産業の新たな業態を生み出していくヒントとなる可能性もあるだろう」と高島氏は話している。
これまでの歴史の中でも危機的状況下でいくつもの新たなビジネスが生まれてきた。コロナショックの影響の長期化が予想される中、意外な分野から新たなプレイヤーが台頭してくるかもしれない。
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