彷徨うコンビニその9 スリーエフが独自性を保つための「最終手段」

森田 俊一
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スリーエフは独自性を保つには

 しかし、今後スリーエフが独自性を保持できるかは微妙なところだ。スリーエフが4月9日に発表した20年2月期通期業績では、営業利益3億円(前期は2億円の営業赤字)と黒字転換を果たしているものの、21年2月期の業績予想では減収・営業減益を見込む。

 「ローソン・スリーエフ」では、スイーツの「もちぽにょ」や焼き鳥といった独自のヒット商品が生まれているものの、その数は少なく、ローソンとしてはスリーエフを別法人にしておく必然性はなくなりつつある。

 セブン-イレブン・ジャパン(東京都)が2万店を超す規模になり、ファミリーマート(東京都)がユニー傘下だったサークルKサンクスを取り込みなど、コンビニ業界はローソンを含めた大手3チェーンによる寡占化の構図が鮮明になっている。

 そうしたなかで、法人をあえて分けておくのも非効率であり、「ローソンは近い将来、スリーエフを取り込むのだろう」(あるコンビニOB)という見方は業界が一致するところとなっている。

平均日販80万円!? 「グーツ」業態に活路はあるか

 スリーエフは上位集中が進むコンビニ業界で存在感を示すことができるのか。そのための、おそらく最終手段として期待されるのが、大手チェーンでは手掛けにくい「ニッチ市場」の開拓である。

 現在、スリーエフは従来型のコンビニとは一線を隠す「gooz(グーツ)」業態を3店舗展開している。従来のコンビニではなかなか出しにくい、おにぎりやパンの「出きたて感」を訴求することをコンセプトとした店舗だ。

 グーツでは、店内炊飯の米で提供するおにぎりや弁当、店内で焙煎したコーヒー豆による淹れたてコーヒーなど、従来の大量生産方式とは一線を画す、店内製造にこだわった提供する。品揃えも豊富で、店内で焼き上げるベーカリーは30~40種類、おにぎりは20種類以上をラインナップする。

 グーツの事業化のメドはまだ立っていないとのことだが、神奈川県横浜市中区にある店舗の平均日販は80万円を超えるという。多店舗展開していくには、人材面やオペレーション面などクリアしなければならない課題も少なくないとみられるが、グーツはこれからのコンビニに求められる要件を満たしているともいえるだろう。

 グーツモデルが普遍化できれば、コンビニの概念が変わる可能性もある。コンビニの転機に咲きそうなスリーエフの小さな芽が注目される。

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