ライザップ傘下の夢展望、Temu効果で株価高騰も拭えない「不安」とは
顧客の拡散が裏目に、そしてライザップ傘下に
その後、ギャル市場が縮小する中、さらなる顧客をもとめ、シルエットをもっと普段使いできるようマイルドにしたブランドをいくつか出したが、そのどれも思うように伸びなかったと思う。私達経営戦略に精通した人間であれば、「選択と集中」「絞り込み」が勝利の一歩と考えるのだが、夢展望は「違うラインをだせば、違う顧客を獲得できる」と考えた。その結果、見事IPOを果たしたものの、他の通販サイトと変わらないブランドができあがり、ブランドの個性がどんどん薄れてしまったと私は感じている。結果、上場で得られた資金のほとんどを使い果たしてしまい、2015年にRIZAPグループ(当時の社名は健康コーポレーション)入りすることになる。
私は、幾度も岡社長に会って、「創業時の勝ちパターンを思い出してほしい」「あの強烈なギャル・ブランドを復活させたほうがよい」と進言したのだが、すでに現場を離れた岡社長にとって、私の助言は右から左へと流された格好となった。
その後、機会があってRIZAPグループの瀬戸健社長にお合いするチャンスがあり、そうした歴史を語ったことがある。
当時のRIZAPは夢展望の他にいくつかアパレル企業を傘下に持っていたものの、そのどれもがうまくいっているとは言えない状況だったため、ワールド出身者による改革チームをつくり、アパレル企業の立て直しを行っているところだった。そのワールド出身の人たちは、私の報告書を読み「その通りなんです」と同意してくれたが、思い切った行動には移せなかったようだ。
その後も夢展望の業績は浮上しないまま、2期連続の営業赤字が続く中での今回のTemuとの事業提携である。同社は現在、フリフリのガーリーラインに路線を変更したようだ。その意味では個性は出ているが、こういう服を欲しがる層は多くはないのが実情だ。
河合拓のアパレル改造論2024 の新着記事
-
2024/11/19
ユニクロ、開始から7年で明らかになった有明プロジェクトのいまとすごい成果 -
2024/11/12
アパレルは「個人売買」「古着」が、今後驚くほど拡大する理由 -
2024/11/05
ユニクロがZOZOに出店しない当然の理由と今後のECモールとの付き合い方 -
2024/10/29
ライザップ傘下の夢展望、Temu効果で株価高騰も拭えない「不安」とは -
2024/10/22
事業再生、「自ら課題解決する」現場に変えるための“生々しい”ノウハウとは -
2024/10/15
利益5000億円越え!世界で圧巻の強さのユニクロが中国で苦戦する理由とは
この連載の一覧はこちら [47記事]
関連記事ランキング
- 2024-10-29ライザップ傘下の夢展望、Temu効果で株価高騰も拭えない「不安」とは
- 2024-11-05ユニクロがZOZOに出店しない当然の理由と今後のECモールとの付き合い方
- 2024-11-12アパレルは「個人売買」「古着」が、今後驚くほど拡大する理由
- 2024-11-19ユニクロ、開始から7年で明らかになった有明プロジェクトのいまとすごい成果
- 2024-11-13値上げしたのにアパレル業界が利益に結び付かない2つの理由
- 2024-10-22事業再生、「自ら課題解決する」現場に変えるための“生々しい”ノウハウとは
- 2024-11-07同じ低価格なのに…GUがしまむらやワークマンと「競合」しない決定的な理由_過去反響シリーズ
- 2024-09-17ゴールドウイン、脱ザ・ノース・フェイス依存めざす理由と新戦略の評価
- 2021-11-23ついに最終章!ユニクロのプレミアムブランド「+J」とは結局何だったのか?
- 2023-08-08EC時代にスクロールとベルーナだけ好調 生き残るカタログ通販、死ぬカタログ通販