節約志向にどう対処するか? ライフ、イオン、セブンの施策とは
割高感の打開めざすセブン、好機を見出す「まいばすけっと」
セブン-イレブン・ジャパンは、下期に入り「うれしい値!宣言」としてテレビCMも使い値頃感をアピールしています。これまで提供価値としては品質と利便性にこだわっていた同社ですが、値頃感を打ち出す背景には顧客調査があったようです。
セブン-イレブンに関して「割高に感じる」と答えた割合が、21年の約34%から、23年は38%に増えたそうです。また、コンビニ一般を他業種と比較すると、割高に感じる割合はスーパーやドラッグストアが11~12%であるのに対し、コンビニは63.9%でした。フードデリバリーの55.3%をも上回る割高感の認識です。宅配の追加料金がかかるフードデリバリーよりも割高と思われるのは、ショックだったに違いありません。
この認識の打開を狙った「うれしい値!宣言」ですが、何もディスカウントをしようというわけではありません。商品戦略のポイントは、「松竹梅」と表現する価格帯の3層構造の割合を修正することにありそうです。
9月の説明会で、商品戦略本部長の青山誠一取締役は、「松竹梅の割合の目安を、従来の3対4対3から、2対4対4に変更した」といいました。それでは粗利率が低下するだろうと思うわけですが、同時に高粗利のカウンターFF(ファストフード)を強化することで粗利率の維持を図るそうです。確かにドーナツやベーカリーなどFFの新カテゴリーを拡大中です。
ところで、コンビニの「割高感」に成長機会を見出しているのが、イオングループが首都圏で展開する小型業態「まいばすけっと」です。イオンの吉田社長は決算会見時に「コンビニと比較するとディスカウントに寄ったポジションになり、小型フォーマットとして競争力がある」と言及、現状の約1200店を2倍に増やす構想を示しました。
割高イメージを払拭したいセブン-イレブンの反撃と、そこに好機を見出すまいばすけっとの攻勢。節約志向をめぐる新たな競争の一幕といえそうです。