あの「SHEIN」を参考に、ワークマンがクイック・レスポンス生産に乗り出した狙いとは

吉牟田祐司
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売れ筋の商品は大ロットに転換

ワークマン製品開発部
製品開発部第4部長の多賀寛悦氏

 QR生産したアイテムの取扱数は2024年春夏向けで25品目、2026年度までにはレディース衣料の2割に引き上げる方針だという。メンズのカジュアルウエアもアイテムに加え、ミニマムスタートで5~6品目からの販売を予定している。取り扱うのは主に「#ワークマン女子」で、同店での取扱商品の構成比は、4割が女性アイテム、4割がユニセックス、残りの2割が男性アイテム。つまり6割の商品が男性にも対応しているのだ。

 ワークマンは、全業態合わせて2023年9月末に1000店舗を達成。中長期的には1500店舗での展開を目指している。「Workman Colors」は東京の新宿、渋谷、大阪の梅田などに計10店舗を展開する予定。現在約50店舗を展開している「#ワークマン女子」は近いうちに倍増させ、10年後には400店に拡大させる計画だ。「ワークマンプラス」は新店も含めて900店、従来の職人向け作業服や機能服を中心に取り扱う「ワークマン」は200店舗の展開を見込む。

 「QR生産の小ロット・短納期のアイテムで、店舗ごとの商品の差別化を図る。その中で売れ筋となり、全国規模で広く受け入れられる商品は大ロットに転換していく。ただし大ロットでの生産を前提にすると商品の鮮度が下がってしまうので、常に新しい商品を小ロットでつくり、積極果敢に挑戦していく。そうしたサイクルが生まれるのが理想」(多賀氏)

  新しい商品が短いスパンで店頭に並ぶようになれば、商品が回転し売場の鮮度も高まるので、顧客の来店頻度が上がりそうだ。店舗を運営するFC加盟店のオーナーにも、仕入れる商品の選択肢が広がるメリットが生まれるのではないか。

  高機能・低価格なコストパフォーマンスの高い商品、トレンドを反映させたファッション性の高い商品、その両軸で売上を支える仕組みをつくり、継続的な成長を目指すワークマンの試みは奏功するか。今後の動向に要注目だ。

 

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