インフレ時代、既存店をいかに高めるか? ライフ、ヤオコー、ビッグ・エーの共通項とは

宮川 耕平(日本食糧新聞社)
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2023年の食品小売は総じて好調でした。食品スーパー業界団体の統計を見ても既存店の前年クリアが続きましたが、その要因は、なんといっても一品単価の上昇でした。既存店の伸長は2024年も続くのでしょうか? それは客数・買上点数・一品単価のどれを伸ばすことで達成できそうなのでしょうか? 23年末の取材機会のうち、既存店の成長について聞けたライフコーポレーション岩崎高治社長、ヤオコー川野澄人社長、ビッグ・エー三浦弘社長の話には、ある共通項がありました。

ライフ岩崎社長「客数・買上点数は販促次第」

アフターコロナでも食品スーパーは好調を持続(ライフ川崎塚越店)
アフターコロナでも食品スーパーは好調を持続(ライフ川崎塚越店)

 ライフコーポレーションの岩崎高治社長は、日本スーパーマーケット協会の会長という立場での年末会見で、一品単価の上昇は続くという見通しを示しました。原料調達に関わる値上げ圧力が弱まったとしても、人件費や物流費からくる値上げ圧力は変わらないからという理由です。

「世の中がインフレのマインドに移っている中で、一品単価の上昇は続くだろう」(岩崎社長)

 インフレのマインド、もしくはモメンタム(勢い)といったものが、コロナ後の経済環境です。一品単価が上昇を続けるとしたら、23年のように客数や買上点数は落ちる傾向も続くのでしょうか? 岩崎社長はそうとも限らないといいます。

「23年の秋以降、ライフがそうであるように客数がプラスに転じる企業は増えている。そもそも客数・買上点数は販促次第のところがあり、企業が変えようと思えば変えられる。重要なことは、トータルの売上げ・利益を見ていくことだ」(岩崎社長)

 客数・買上点数が販促次第であるのに対し、一品単価のコントロールは、企業努力ではどうにもならないところがある・・・・。これもインフレ環境で顕著になったことです。

 以下に挙げるヤオコーとビッグ・エーの戦略も、突き詰めれば思うに任せない一品単価ではなく、客数・買上点数にフォーカスしようというものです。

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