1店舗で売上150億円超!ジョイフル本田をつくった男のスゴイ経営哲学

千田直哉
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結果はあとからついてくる

そして1975年に「楽しさいっぱい」という意味の「ジョイフル(JOYFUL)」に自分の苗字である本田をつけてジョイフル本田を設立。翌1976年には、1号店となる荒川沖店を茨城県土浦市にオープンした。

本田さんは、創業の精神について次のように話している。

「誰でもお客様至上主義を唱えるけれども、実際はなかなかできません。POSなんかは会社都合以外の何物でもなく、お客様の都合ではありません。だから、うちはずっとPOSを入れませんでした。実家で働いていたころから、お客様至上主義については考えていました。それをやり続けることが、結果として儲かると確信していました。儲けるために何をしたらいいかを考えていくと、お客様を大事にすることに行き着くからです。結果を先追いしたらだめなんです。すべてそう。こうやったら、お客様が喜んでくれるという繰り返しです。それはこうやったら儲かるという打算ではありません。結果はあとからついてくるのです」。

売場面積4万㎡、取り扱いアイテム数22万、駐車台数3500台、売上高150億円超――。

ジョイフル本田は、気の遠くなるような数字を並べる一店舗巨艦主義でホームセンター業界を長くリードしてきた。

では、本田さんは、経営効率をまったく考えていなかったのだろうか?

「もちろん効率については考えていますよ」と本田さんはことあるごとに強調していたが、その具体例を示すことはあまりなく、大抵は、すぐに次のような言葉を継いだ。

在りし日の本田昌也さん
在りし日の本田昌也さん

「ジョイフル本田の敷地面積は3万~4万坪。売場面積は3万~4万㎡。建設業者から物件が引き渡され、売場を一瞥すると、これが本当に埋まるのか、とぞっとしますよ。だけど、埋まるはずだと、信じるのです。たとえば、2002年に開業した千葉ニュータウン店(千葉県)では駐車場を3200台用意しました。しかし、それではきっと足らなくなるはずだと考え、そのほかに800台の駐車場を用意したのです。普通なら3200台の駐車場など埋めきれないという考えが先にいってしまうのでしょうが、そうじゃないのです。仮に3200台と考えてしまうと、売場も3200台用の売場になってしまう。それじゃあダメなんです。広すぎると思った瞬間、それだけの品揃えしかしなくなってしまうからです。でもそうじゃない。新しい店にお客様が来てくださるのかと不安に感じることはあります。恐怖すら感じます。しかし、大切なのはガマンの経営であり、ガマンのマーチャンダイジングだと思うのです」。

店内に22万アイテムの商品を抱える、ということは、それを取り扱う従業員の知識習得も大事な経営テーマになる。

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