アリババ現地レポート3 日本の有名菓子メーカーが売上5倍にしたB2Bプラットフォーム「リンショウトン」とは?
食品宅配サービスとも連携 瞬時にOMO型店舗に様変わり
リンショウトンが提供する機能は、ビッグデータを活用した店舗効率の向上だけではない。リンショウトンに参加して天猫小店に転換すると、ただちに「高徳地図」(アリババが提供するGoogle Mapのような地図アプリ)上に店舗情報が表示され、さらにアリババグループの食品デリバリー企業であるEle.me(ウアラマ)とも自動で連携される。これにより、ウアラマのユーザーがパパママストアから日用品や菓子のデリバリーをオーダーすることができるようになり、逆に言えばパパママストアは食品宅配の配送拠点となる。
リンショウトンによって、旧態依然としていたパパママストアが瞬間的にOMO(Online Merge with Offline:オンラインとオフラインの融合)型店舗に姿を一変させるというわけである。
アリババは、約600万あるとされるパパママストアのうち、19年9月末までにすでに150万店舗にリンショウトンが導入されたとしている。パパママストアは、放っておけばデジタル化のトレンドの中で淘汰される運命だったはずだ。しかしリンショウトンによって起死回生の復活を遂げており、その社会的意義は極めて大きいのではないだろうか。
地方部でも”日本ブランド”の商品ニーズは高い
さて、冒頭のUHA味覚糖の話に戻りたい。UHA味覚糖はリンショウトンによってデジタル化に成功した地方のパパママストアに対して、日本企業としていち早くリーチすることに成功した事例である。同社の味覚糖の商品は、もともと上海などの大都市で人気を博していたが、リンショウトンによって売上が伸びた(=天猫小店からの発注が増えた)ということは、地方都市でもUHA味覚糖のような「日本ブランド」を求めるニーズが予想以上に高いことが示されたということでもある。
いずれにしても、リンショウトンはユーザーにとっても、店にとっても、メーカーにとってもメリットの大きいサービスであることは間違いない。これこそまさに、アリババが展開するニューリテール戦略の醍醐味と言えるのではないだろうか。