中期経営計画「CAP-I」を推し進め、会社を変える=イズミヤ 坂田俊博 社長
プロセスセンターを活用し、店舗の効率運営めざす
──テーマとして掲げている損益分岐点の引き下げは、どのようにして実現するのですか。
坂田 12年度、出店を約2年ぶりに再開し、天六樋之口店を出店したわけですが、今年度は2月にも、大阪市内と大阪府池田市に各1店ずつの計2店、新店を出します。いずれも食品スーパー(SM)業態の「デイリーカナート」で、売場面積は300坪(990平方メートル)程度になります。天六樋之口店が340坪(1123平方メートル)ですから、ほぼ同規模です。今後、関西地区の出店エリアは都市部を中心に考えていますから、このサイズの店舗が増えるでしょう。ただ、地価も高く、プロセスセンター(PC)工場からの配送も始まりますので、できるだけバックヤードを縮小し、売場のスペースを最大限に確保するように店舗を設計する考えです。
小型店の展開に備えて、推進しているのが業務改革です。その中心となるのがロジスティクス改革で、大阪市住之江区の南港エリアで物流拠点を整備します。まず、今年9月、要冷センターと新総菜工場、および農産向けPCを含む物流センターを稼働させます。そして、14年3月には畜産、水産向けPCが完成します。全体で約42億円の大規模な投資となります。
これらの施設を使って、配送を効率化するほか、生鮮品のアウトパック比率を高めて店舗での業務を軽減していきます。そのため店舗の作業スペースは小さくても済むのです。近年、コールドチェーンの技術が飛躍的に向上しており、鮮度維持についても問題はありません。揚げ物の総菜をつくるなど、店舗で必要な作業以外は、PCを活用していきます。
こうしたロジスティクス改革によりオペレーションコストを低減させ、損益分岐点を下げようと考えています。小型店だけでなく、売場面積2000坪クラスのコンパクトなスーパーセンターの開発も進めていますが、新しいロジスティクスはこの業態でも力を発揮するはずです。
──店舗の従業員の業務も変わってくるのですか。
坂田 当然、ロジスティクス改革の一方で、店舗業務の合理化にも取り組んでいます。現在、当社の利益の大きな部分を占めているのはGMS業態です。しかし、GMSが花形だったころの仕事のやり方が今も残っていて、効率の悪い部分があります。SMでは部門担当者が荷受けもするといったように1人で複数の業務をこなすのが当たり前ですが、GMSではそういうことはありません。GMSとSMでは店舗業務に違いがあるのです。今後は売上規模に応じて業務を標準化し、合理化していこうと考えています。
12年度には、既存の平野店、学園前店、阪和堺店をモデル店として、合理化に着手しました。13年度には10店舗、14年度には15店舗と拡大していきます。基本的には売上高50億円以下の店舗を対象に、この取り組みを広げていく予定です。