小型SM「まいばすけっと」とネットスーパーで成長戦略描く!=イオン北海道 柴田祐司 社長
食品は「健康」「個食」「簡便」がキーワード
──衣料や住居余暇の売場改革が着々と進んでいるようですね。一方、全社売上の52%を占める食品についてはどのような改革を行ってきましたか。
柴田 実は食品フロアについてはほとんど手つかずでした。
当社は株主やお取引先さまなどのステークホルダーにしっかりと信頼されるため、まずは配当できることを目標にさまざまな改革に取り組んできました。大きな投資ができない中で、比較的低コストでテコ入れできるのが衣料と住居余暇だったのです。
計画どおりに業績が推移すれば今期は1株当たり年間7円を配当できるまで体質改善が進んでいます。ですから今期は衣料や住居余暇に加えて、これまでテコ入れできなかった食品部門に手を入れていきます。設備投資額は年間10億円を予定しており、食品フロアの改装に重点配分する計画です。
──食品フロアの改装ではどのようなことを行いますか。
柴田 特別なことを行うのではありません。あくまでベーシックな施策が中心です。
ハード面では什器の入れ替えやレイアウト変更を行います。
商品政策(MD)面では、これまでも取り組んできたトレンド商品、カテゴリーの導入やシニア対応がメーンになると考えています。具体的には、「健康志向」「個食対応」「簡便食品」などがキーワードです。
たとえば農産部門では、人気が高まっているドライフルーツのコーナーを設けたり、地場産品をすでに充実させています。加工食品は、イオングループのプライベートブランド「トップバリュ」とナショナルブランド商品をバランスよく取り揃え、しっかりとメンテナンスされた売場を展開します。
──イオン北海道が独自に開発した商品も売場に並んでいます。
柴田 そうです。これまで、個食対応の100円のパック入り総菜「彩プラス」シリーズや骨なしの塩干魚を開発し、お客さまから好評を博しています。とくに100円のパック入り総菜は、当社の女性バイヤーとベンダーさんがタッグを組んで開発し、大ヒット商品に育っています。
──商品開発の方向性について教えてください。
柴田 これから先、冷凍食品やデリカは増やしていかなければなりません。なぜかと言えば、高齢化の進展とともに1~2人の少人数世帯が増加し、「個食化」がより進むからです。少人数世帯では一度に多くの生鮮食品は購入できません。しかし冷凍食品ならば自宅の冷蔵庫に比較的長期間、ストックすることができます。また、電子レンジやフライパンでひと手間加えるだけで調理することができる簡便・即食性の高い商品もより必要とされるようになると考えています。
ほかにも、当社は「北海道No.1の信頼される企業」になることをミッションに掲げていますので、北海道のメーカーさんや生産者団体と組んで北海道ならではの商品を継続して開発していきます。
──マックスバリュ北海道(北海道/山尾啓一社長)や機能会社のイオントップバリュ(千葉県/仲矢長蔵社長)と商品の共同開発をするのですか。
柴田 これまでにも北海道発の商品が「トップバリュ」として発売されていますので、商品開発において連携することはあり得ます。ただし、何を言っても、まずは当社でできることが最優先です。そして当社とマックスバリュ北海道さんがタッグを組んでできること、そして機能会社にもお願いする部分をそれぞれ考えて商品を開発していきます。
──選択肢が複数あるのは大きな強みです。今後、グループの総合力を活用することも念頭に置いている。
柴田 そのとおりです。ほかの事業子会社も環境は同じだとは思いますが、グループの調達力やインフラを最大限生かして「いいとこどり」をしていきます。