低価格戦略見直し、MDで差異化、食のインフラ化で需要創造=コープさっぽろ 大見英明 理事長
コープさっぽろは2011年3月期、コープこうべ(兵庫県/櫻井啓吉理事長)の供給高(民間企業の売上高に相当)を抜いて初めて全国の生協のトップに立った。競争環境が厳しさを増す北海道において、コープさっぽろは「食のインフラ」を標榜。移動販売や夕食宅配などの新規事業を次々に立ち上げている。人口の減少が進む北海道でどのような成長戦略を描くのか──。大見理事長に聞いた。
旧旭友ストアー8店の売上が低迷、過度な低価格政策は見直す
──2011年3月期、コープさっぽろの総事業高(民間企業の営業収入に相当)は2478億円で対前期比4%増となりました。店舗事業や宅配事業の供給高も前年実績をクリアしています。
大見 たしかに供給高は前年を上回りました。10年度の店舗事業の供給高は1774億円で対前期比4.3%増、宅配事業「トドック」の供給高は688億円で同3.4%増となっています。ただし、予算はクリアできていません。しかも経常剰余金(民間企業の経常利益に相当)は10億円と前年の約半分まで減らしてしまう結果になりました。
──どのようなことが原因ですか?
大見 店舗事業の不振が大きいですね。10年1月に経営不振に陥った旭友ストアー(旭川市)から譲り受けた8店舗の売上低迷が響いています。商品政策(MD)や価格政策をコープさっぽろの店舗と同じにし、10年4月から8店舗を順次オープンさせました。売上は旭友ストアー時代の1.6倍を見込んでいましたが、実際は1.1倍にとどまりました。なぜかといえば旭友ストアー時代からのお客さまにご支持いただけなかったからです。売上が計画未達のため、店舗改装費や人件費をカバーできず、利益を大きく減らしてしまいました。このことが経常剰余金半減の主因です。