オーケー決算、既存店売上は巣ごもり需要の前期を上回る!関西出店は?

棚橋 慶次
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関西出店はいつか?

 今後のオーケーの成長を占う上で注目されるのが、出店エリアの拡大だ。これまでオーケーは、1都3県に新店を投じてきた。

 首都圏の場合、オーケーは基本的に「ルート16(国道16号線)」の内側を出店エリアとしている。店舗は自社所有を基本としつつ、地主側の意向を踏まえて賃貸契約を結ぶ場合もある。22年3月期末の店舗数は134となっている。

 既述の通り23年3月期は久しぶりの2ケタ出店を目標としており、二宮社長も「前期より多数の実店舗を出店する見通し」と語っている。この10店舗はいずれも1都3県の都心と郊外だが、今後さらなる成長加速のために、期待が集まっているのが展開エリアの拡大だ。

 オーケーからすれば関西スーパーが首尾よく買収できれば、大阪府・兵庫県・奈良県に展開する60店舗あまりが手に入るはずだった。エイチ・ツー・オー リテイリング(大阪府)を巻き込み、最高裁の場にまでもつれ込んだ買収争奪戦は、結果的に関西スーパー経営陣側に軍配が上がった。関西スーパーはエイチ・ツー・オーリテイリングの傘下に入り、イズミヤ(大阪府)、阪急オアシス(大阪府)と経営統合のうえ、関西フードマーケット(大阪府)として再出発した。

 エイチ・ツー・オーに奪われた格好のオーケーだが、関西進出をあきらめたわけではない。二宮社長の弁によると、実際に関西からは具体的に出店を求める消費者の声が多く寄せられるという。

 旧関西スーパーの株式売却益もあって、オーケーの現預金残高は前期から200億円近く膨らんだ。潤沢なキャッシュを武器に、オーケーはどんな手を打つのか。自力進出かM&A(合併・買収)を模索するのか、さまざまな選択肢が考えられる。

 ここで気になるのが、6月17日、JR西日本不動産開発が24年春オープンとして発表した「東京都中央区で賃貸住宅・スーパーマーケットの開発に着手」というリリースだ。この物件にテナントとして入居予定なのがオーケーなのである(オーケー日本橋久松町店<仮称>)。もちろん今回の出店は東京都なのだが、「JR西日本」と「オーケー」の名前が並べば、勝手に次なる展開を想像してしまいたいところだろう。

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