#19 リアル店舗がECやSNS上の「デジタルシェルフ」を無視できない理由
基本的な戦略は「チャネルの全張り」
これまでは、大手量販店や専門店の棚をいかに押さえるかという競争が繰り広げられていました。当時の競争は非常にシンプルで、広告宣伝料と営業マンの人数によって決まる勝負でした。そのため、基本的には資本力があれば勝つことができました。しかも棚面積が物理的に限られているため有限性が高く、一等地に置ける商品数が限られているため、新規でこの勝負に割り込むことは非常に難しいものでした。
一方、デジタルシェルフでは、棚が無限とまではいかないものの一気に広がり多岐に渡っています。このように、競争の原理自体が大きく変わりつつあることを、まずはしっかり理解しておく必要があります。
そんな「デジタルシェルフ時代」の棚取り戦略は、基本的に楽天市場、アマゾン、TikTokのようなSNSなど「チャネルの全張り」が必要です。当然、金銭的コストもそうですが、オペレーションコストもかかるため、従来の縦割り型組織ではなく、新しい時代にフィットした体制も必要です。
また、どうしても多くの商品が乱立するプラットフォーム上での戦いであるため、原則的に一人勝ちができず、分散化される傾向にあります。デジタルは棚数に上限がないため、潤沢な資金があってもそのすべてを押さえることができないのです。さらにECモールやSNSの特性上、先行者有利なロジックが働きやすいため、デジタルの世界では大手であってもなかなか勝つことが難しいのです。
デジタル化と小売業の未来 の新着記事
-
2024/06/18
物流「2024年問題」に対応!物流拠点分散化のメリットと可能性 -
2024/05/13
中小企業でもECの翌日配送を実現できる『物流拠点の分散化』とは -
2024/04/02
配送料も続々値上げ…迫る「物流の2024年問題」が小売業界に与える影響 -
2024/01/29
カギはコンテンツの「再利用」 “売れ続ける”状態をつくる新たなマーケ手法とは -
2023/12/13
ニトリの成功にみる オウンドメディアに求められるコンテンツとは -
2023/10/26
「トリプルメディア」の近未来 オウンドメディア活用の重要性と役割
この連載の一覧はこちら [39記事]
![デジタル化と小売業の未来](https://diamond-rm.imgix.net/wp-content/uploads/2021/05/digital-main-noresize.jpg?auto=format%2Ccompress&ixlib=php-3.3.0&s=bdcc1d697bbfb59744236e62734aa50e)
関連記事ランキング
- 2021-08-24「デジタル化と小売業の未来」 #10 消費者はもはや店舗で買うものを決めない?ウェブルーミングの台頭
- 2022-10-06実店舗にも必須! AmazonやInstagramに学ぶ「発見型」の購買体験
- 2020-10-22「デジタル化と小売業の未来」#1 小売におけるデジタルインフルエンスの重要性
- 2022-08-04ユニクロやナイキはすでに取り組んでいる! 店舗のデジタル化とデータ活用
- 2020-12-04「デジタル化と小売業の未来」#2 買物プロセスの変化への対応は必須!消費者にとって買物はますます面倒に
- 2021-03-15「デジタル化と小売業の未来」#5 “EC大国”の中国でリアル店舗の出店ブームが起こる理由
- 2022-01-06「デジタル化と小売業の未来」 #15 FABRIC TOKYOなどのD2Cブランドがリアル店舗を重視する理由
- 2022-02-14「デジタル化と小売業の未来」#17 小売とメーカーの境目がなくなる?10年後の小売業界未来予測
- 2022-06-15デジタルに対応する組織の再編成が急務なワケ
- 2022-09-12今後日本でも実店舗が増える? Amazonと違う価値を実店舗が追求すべき理由