無料の会員誌がフリマアプリで売れる? コロナ禍で強さを見せたコストコのブランド戦略に迫る

榎森 順二
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カギは“特別感” コストコの巧みなブランド戦略

 コストコホールセールジャパン 日本支社長のケン・テリオ氏は、21年10月に小誌が行ったインタビューに対し、「ここ1年半の会員数の伸長率は、コロナ以前と比較してさらに高まっている」と述べている。これは、商品を大容量で提供するコストコのコンセプトがコロナ禍でのまとめ買い需要の高まりにフィットしたという側面もあるが、映画館にも遊園地にも行けないコロナ禍での閉塞感が「ワクワク感のあるコストコ」に消費者を誘ったとも言える。事実、同インタビューでテリオ支社長は「来店頻度も約2週間に1回と増加傾向にある」と述べている。これはコストコが消費者のまとめ買い需要だけではなく、エンタメとしての需要にも応えたからではないか。

 ただし、その前提にはコストコの巧みなブランディング戦略がある。そもそもが「会員でなければ原則入店することができない」という特別感に加え、会員にもランクが存在する。ビジネスメンバー(法人会員:年会費4235円)とゴールドスターメンバー(個人会員:年会費4840円)の2種類が基本となり、それぞれ上位のエグゼクティブ会員(年会費9,900円)にアップグレードすることができる。エグゼクティブ会員はより割引特典などが多いが、特典の差に加えて消費者の特別感をより引き出す効果もありそうだ。

 「誰でも買物ができるわけではない」というコストコの特別感と、コストココネクションの「誰でも貰えるわけではない」という特別感には共通しているものがある。あえて門戸を制限することで消費者の特別感や購買意欲を高め、ブランドに触れること自体をエンタメに昇華させるコストコの戦略には学びが多そうだ。

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