「フード&ドラッグ」の最終形態へ?クスリのアオキの戦略、強み、新フォーマットを徹底解説!

雪元 史章 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)、松岡 由希子 (フリーランスライター)
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アオキ対策としてSMがとるべき戦術

 400坪という新フォーマットを主軸としたドミナント出店、PB投入による価格競争力の向上、そして店舗間供給による生鮮の取扱店舗の拡充──。これらがスムーズに進展した暁には、とくにドミナント戦略によって囲い込まれたSMが受ける影響は計り知れないものがある。逆に言えば、これを実現できるかがクスリのアオキにとっての大きな課題でもある。

 では、SMはどのようにして強大化するクスリのアオキに立ち向かえばよいのだろうか。1つのヒントを得たのが、埼玉県上里町で行ったエリア調査である。同エリアではクスリのアオキに近接して、「ヤオコー」「ベルク」「とりせん」「トライアル」などが出店。この顔ぶれからして、“仁義なき戦い”が展開しているかと思いきや、さにあらず。いずれの店舗も多くのお客で賑わっていた。

 その理由は、各店舗が自社の強みを前面に出した店づくりを行っているためだ。緻密かつ高質なMDを武器とする「ヤオコー」、徹底した店舗標準化と販売力の高さで知られる「ベルク」、典型的な地域密着型SMである「とりせん」、スーパーセンターならではの圧倒的な品揃えと価格でお客を引き付ける「トライアル」……。いずれも目先の競合対策に追われるのではなく、自社の強みを明確にしてそれを売場で表現することに長けている。それが結果としてクスリのアオキを含む競合との差別化につながり、顧客が定着しているのだ。

 ただ、視点を変えれば、これら“強豪”に囲まれても揺るがないクスリのアオキの総合力の高さも際立つ。つまり前出のSMのように他社に負けない「明確な強さ」を打ち出せていない、あるいは認識できていないSMは、クスリのアオキにとって恰好の“M&A案件”になるだろう。

 クスリのアオキが今後も各エリアで存在感を大きくすることは確かだ。そこで生き残るためには、クスリのアオキの強さ、考えていることを理解したうえで、それに対する自社の強みをどこに見出し、店・売場・MDで表現できるかにかかっている。そのための虎の巻として、本特集を活用していただければ幸いだ。

クスリのアオキホールディングス会社概要

所在地 石川県白山市横江町4街区1
創業 1869年7月(設立1999年7月)
代表者 青木宏憲
売上高 3058億円(2021年5月期)
店舗数 794店舗(2022年1月20日時点:調剤薬局の単独店含む)

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記事執筆者

雪元 史章 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

上智大学外国語学部(スペイン語専攻)卒業後、運輸・交通系の出版社を経て2015年ダイヤモンド・フリードマン社(現 ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。

企業特集(直近では大創産業、クスリのアオキ、トライアルカンパニー、万代など)、エリア調査・ストアコンパリゾン、ドラッグストアの食品戦略、海外小売市場などを主に担当。趣味は無計画な旅行、サウナ、キャンプ。好きな食べ物はケバブとスペイン料理。全都道府県を2回以上訪問(宿泊)済み。

記事執筆者

松岡 由希子 / フリーランスライター

米国MBA 取得後、スタートアップの支援や経営戦略の立案などの実務経験を経て、2008年、ジャーナリストに転身。食を取り巻く技術革新や次世代ビジネスの動向をグローバルな視点で追う。

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