【ワシントン時事】米労働省が6日発表した8月の雇用統計(季節調整済み)で、景気動向を敏感に反映する非農業部門の就業者数は前月比14万2000人増だった。伸びは7月(8万9000人増、改定)から拡大したものの、市場予想(16万人増)を下回った。
6月と7月の就業者数の伸びは、従来発表よりも計8万6000人下方修正され、米労働市場の鈍化傾向が鮮明となった。失業率は4.2%で、前月から0.1ポイント改善した。
雇用情勢の過熱感が落ち着き、インフレ圧力も減退する中、連邦準備制度理事会(FRB)は9月17、18両日の次回金融政策会合で利下げ開始を決める見通しだ。
業種別の就業者数は、建設業が3万4000人増、医療関連が3万1000人増。一方、製造業は2万4000人減だった。
米国の労働市場では、失業者1人に対する求人数が直近7月で1.1件弱と、約2件だった2022年当時から大きく減少。過度な人手不足は収まり、労働力需給の均衡をうかがわせている。
パウエルFRB議長は先月の講演で、インフレ上振れリスクが減じる一方、雇用下振れリスクは増したと分析。健全な雇用増の維持に向け、金融緩和へ政策転換する「時が来た」と述べ、次回会合での利下げ開始決定を明示した。
◇米雇用統計概要
7月 8月
失業率 4.3% 4.2%
非農業部門就業者数 8.9万人 14.2万人
民間部門 7.4万人 11.8万人
物品生産部門 2.0万人 1.0万人
サービス部門 5.4万人 10.8万人
政府部門 1.5万人 2.4万人
労働時間(週平均) 34.2時間 34.3時間
平均時給 35.07ドル 35.21ドル
平均時給伸び 3.6% 3.8%
労働参加率 62.7% 62.7%
U6失業率 7.8% 7.9%
長期失業者(半年以上) 153.5万人 153.3万人
経済的理由でのパート勤務 456.6万人 483.0万人
【注】▲は減少。「U6失業率」は完全失業者、正社員を希望しているパート労働者、働く意欲はあるが職探しをやめた人を加味した広義の失業率。