【ワシントン時事】米労働省が5日発表した6月の雇用統計(季節調整済み)で、景気動向を敏感に反映する非農業部門の就業者数は前月比20万6000人増だった。伸びは5月(21万8000人増、改定)から小幅縮小したものの、市場予想(19万人増)を上回った。米雇用情勢の底堅さが示された。
失業率は4.1%と、前月から0.1ポイント悪化した。インフレに影響する平均時給は前年同月比3.9%上昇と、前月から伸びが減速。物価圧力が幾分減退していることをうかがわせた。
業種別の就業者数は、政府関連が前月比7万人増、医療が4万8600人増。一方で小売業が8500人減となった。
雇用は、ひと頃の過熱感こそ収まったが、堅調さを保っている。連邦準備制度理事会(FRB)は労働市場について「大幅に需給均衡へ向かっている」(パウエル議長)と分析。インフレ鈍化スピードが緩慢な中、政策金利を現行の年5.25~5.50%で当面据え置き、雇用や物価の動向を慎重に見極めながら、利下げの是非を判断する構えだ。
◇米雇用統計概要
5月 6月
失業率 4.0% 4.1%
非農業部門就業者数 21.8万人 20.6万人
民間部門 19.3万人 13.6万人
物品生産部門 1.2万人 1.9万人
サービス部門 18.1万人 11.7万人
政府部門 2.5万人 7.0万人
労働時間(週平均) 34.3時間 34.3時間
平均時給 34.90ドル 35.00ドル
平均時給伸び 4.1% 3.9%
労働参加率 62.5% 62.6%
U6失業率 7.4% 7.4%
長期失業者(半年以上) 135.0万人 151.6万人
経済的理由でのパート勤務 441.9万人 422.0万人
【注】▲は減少。「U6失業率」は完全失業者、正社員を希望しているパート労働者、働く意欲はあるが職探しをやめた人を加味した広義の失業率。