【ワシントン時事】米労働省が7日発表した5月の雇用統計(季節調整済み)で、景気動向を敏感に反映する非農業部門の就業者数は前月比27万2000人増だった。伸びは4月の16万5000人増(改定)から拡大。市場予想(18万5000人増)を大きく上回った。米労働市場の堅調さが改めて示された。
失業率は4.0%と、前月から0.1ポイント悪化した。インフレに影響する平均時給は前年同月比4.1%上昇と、伸びは前月から小幅加速。強い雇用情勢がなおも物価上昇圧力をもたらしている状況がうかがえた。
業種別の就業者数は、医療関連が前月比6万8000人増、レジャー・接客は4万2000人増だった。
雇用は増加する一方で、求人件数が減少しており、連邦準備制度理事会(FRB)は「労働市場の需給は均衡を取り戻しつつある」(パウエル議長)と分析。ただ、今年に入ってインフレ鈍化の進展があまり見られないことから、政策金利を現行の年5.25~5.50%で当面据え置き、雇用や物価の動向を慎重に見極める構えだ。
◇米雇用統計
概要 4月 5月
失業率 3.9% 4.0%
非農業部門就業者数 16.5万人 27.2万人
民間部門 15.8万人 22.9万人
物品生産部門 0万人 2.5万人
サービス部門 15.8万人 20.4万人
政府部門 0.7万人 4.3万人
労働時間(週平均) 34.3時間 34.3時間
平均時給 34.77ドル 34.91ドル
平均時給伸び 4.0% 4.1%
労働参加率 62.7% 62.5%
U6失業率 7.4% 7.4%
長期失業者(半年以上) 125.0万人 135.0万人
経済的理由でのパート勤務 446.9万人 441.9万人
【注】▲は減少。「U6失業率」は完全失業者、正社員を希望しているパート労働者、働く意欲はあるが職探しをやめた人を加味した広義の失業率。