【ワシントン時事】米労働省が3日発表した4月の雇用統計(季節調整済み)で、景気動向を敏感に反映する非農業部門の就業者数は前月比17万5000人増だった。伸びは3月の31万5000人増(改定)から大幅に縮小し、市場予想(24万3000人増)も下回った。雇用情勢は底堅さを保っているが、勢いは鈍化した。
失業率は3.9%と、前月からやや悪化。インフレに影響する平均時給は前年同月比3.9%上昇と、伸びは前月(4.1%上昇)から減速した。賃金を押し上げ、物価上昇圧力につながる人手不足は、移民増加などを背景に幾分和らいでいる。
業種別の就業者数は、医療関連が前月比5万6000人増。一方、コロナ禍後の伸びをけん引していたレジャー・接客は5000人増にとどまった。
雇用の伸びは堅調だが、求人件数は減少しており、連邦準備制度理事会(FRB)は「需給バランスは改善している」(パウエル議長)と分析している。
一方、最近の指標では一段のインフレ低下が見られないことから、FRBは当面、政策金利を現行水準で維持し、雇用や物価の動向を慎重に見極める方針だ。
◇米雇用統計概要
3月 4月
失業率 3.8% 3.9%
非農業部門就業者数 31.5万人 17.5万人
民間部門 24.3万人 16.7万人
物品生産部門 3.9万人 1.4万人
サービス部門 20.4万人 15.3万人
政府部門 7.2万人 0.8万人
労働時間(週平均) 34.4時間 34.3時間
平均時給 34.68ドル 34.75ドル
平均時給伸び 4.1% 3.9%
労働参加率 62.7% 62.7%
U6失業率 7.3% 7.4%
長期失業者(半年以上) 124.6万人 125.0万人
経済的理由でのパート勤務 430.8万人 446.9万人
【注】▲は減少。「U6失業率」は完全失業者、正社員を希望しているパート労働者、働く意欲はあるが職探しをやめた人を加味した広義の失業率。