食料価格高、41年ぶり水準=家計直撃、目立つ生活必需品伸び―9月消費者物価、3.0%上昇
総務省が21日発表した9月の全国消費者物価指数(2020年=100)は、価格変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が102.9と、前年同月比3.0%上昇した。上昇率は消費税増税の影響を除けば、1991年8月以来、31年1カ月ぶりの高水準。このうち生鮮食品を除く食料が4.6%上昇と41年1カ月ぶりの高さになるなど、家計を直撃する生活必需品の価格上昇が目立つ。
物価上昇は食料とエネルギーがけん引した。生鮮食品を除く食料では、原材料価格の高騰や円安の影響で、から揚げや食パン、食用油、ポテトチップスなど値上がり品目は多岐にわたる。エネルギーは16.9%上昇し、特に電気代が21.5%、都市ガスは25.5%と大幅に伸びた。
家計への影響が大きい生活必需品の価格を示す「基礎的支出項目」の伸びは4.5%。総合指数を上回って推移しており、支出に占める生活必需品の割合が高い低所得者層ほど負担が大きくなる構図だ。帝国データバンクによると、食品・飲料の値上げは10月に今年最多の約6700品目に上り、家計への圧迫は一段と強まりそうだ。
さらに、総合指数の上昇率が同じ3.0%だった91年当時と比べると、賃金の上昇率が大きく異なる。ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査部長は「当時の賃金上昇率は4%台だったため、物価が3%上がっても実質賃金がプラスだった」と指摘。今回は賃金の伸びが物価に追い付いておらず、実質賃金は前年同月比でマイナスが続いており、「約31年前は(モノの値段を示す)財とともに賃金との連動性が高いサービス価格が上がっていたが、今回は財だけだ」と話す。
政府は今月中に策定する総合経済対策で、「エネルギー、食料品等の価格高騰から国民生活を守る対応を取る」(鈴木俊一財務相)考えだ。しかし、物価を押し上げる要因となる円安は、20日に1ドル=150円台と約32年ぶりの安値水準を付けた。円安が収まる気配は見えず、景気のけん引役である個人消費の鈍化が懸念される。