急拡大する「セミセルフレジ」

ダイヤモンド・リテイルメディア 流通マーケティング局
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POSメーカーの戦略
【2】
東芝テック
通常のレジを上回る生産性向上に期待
東芝テック(東京都/池田隆之社長)はセミセルフレジの販売を5年ほど前にスタートさせた。深刻となっている小売業の人手不足を背景に導入店舗を増やしている。

買物客も導入店舗も2週間で慣れ

 「セミセルフレジのことは当初、分担制チェックアウト・システムと呼んでいた。当社では通常レジからフルセルフレジまで、お客さまの店舗環境に合わせたチェックアウト・システムを数多くラインアップしている。セミセルフレジが特別なシステムとは考えていない」。こう話すのは、東芝テック商品・マーケティング統括部の後藤幾氏だ。

 東芝テックは、ここにきて小売業の人手不足を背景にセミセルフレジの導入店舗数を増やしている。

 現在200店舗以上にセミセルフレジを展開している。16年度は1000店舗以上に導入される見込みだ。

 後藤氏は「1台当たりのレジの通過客数は1.6倍程度に増え、レーンも減らすことができる。店舗運営の効率化とダブルの効果が期待できる」と、セミセルフレジの導入効果を強調する。

 導入店舗では当初、「買物客に『なぜ自分で精算しなければならないのか?』という反応が見られた。しかし使い慣れてくると、スピーディにチェックアウトできることで、むしろセミセルフレジを選ぶ買物客が増えてくる」(後藤氏)。セミセルフレジ導入の効果が実証されたことから、新店では最初からセミセルフレジありきでレイアウトするケースも多くなっているという。

 通常、2週間程度の運用で買物客はセミセルフレジに慣れてくると後藤氏は説明する。支払いに時間がかかっていた買物客も、ほかの客を待たせないことがわかると焦らずに会計できるようになる。当初は店舗スタッフがアテンダントとして手助けしたり、東芝テックがサポートを行ったりするが、2週間後にはスムーズに客が流れるようになる。

 東芝テックは、通常のレーンでもPOSレジをそのまま使い、会計機を設置してセミセルフ化する方法も提案している。反対にセミセルフ化して効果がなければ、通常のレーンに戻すこともできる。「当社のシステムでは、通常のレジでもセミセルフレジでも、制御ソフトを変えずに対応している」と後藤氏は話す。ただ実際には通常のレジに戻すケースはないようだ。むしろ使い勝手をよくすることで、セミセルフレジの機能を高め、それによりさらに普及が加速すると同社は考えている。

 

東芝テック 後藤幾氏

東芝テック
商品・マーケティング統括部 量販ソリューション商品部 量販ソリューション商品 第二担当参事
後藤幾 氏

⇒東芝テックのセミセルフレジ新型機「SS-900」シリーズ

【拡大画像表示】

東芝テックのセミセルフレジ新型機「SS-900」シリーズ

使い勝手を向上させた新型機「SS-900」

 東芝テックのセミセルフレジ新型機「SS-900」シリーズは、会計機の硬貨投入口に「吟味台」を取り付けたり、紙幣投入口をATM(現金自動預け払い機)と同じスタイルにしたりと改良を加えた。「セミセルフレジに慣れてきてゆっくり支払いができることがわかると、お客さまは硬貨を使うようになる。財布から硬貨を出して指先で投入口に滑らせることができるよう工夫したのが吟味台だ」(後藤氏)。

 また、誘導LED(発光ダイオード)を設け、それに従って操作することで買物客が戸惑わないようにした。さらに、硬貨の管理支援機能も設けた。買物客が硬貨で支払うようになると、会計機に硬貨が溜まってくる。硬貨がいっぱいになった場合、会計機は自動停止する。新型機ではそれを防ぐために自動で専用の回収袋に硬貨を移す機能も備えた。買物客の利便性に加えて、店舗運営の負荷軽減にも配慮されている。

 「支払いにかかわる機能を向上させ、いかに効率化につなげていくかが今後の課題」と後藤氏は言う。たとえば、レジスペース削減のための商品登録機や会計機のシステム構成、レジ本体の電子マネー対応など作業の効率化を支援する機能だ。後藤氏は、「導入店舗数の伸び率は14年あたりから急上昇カーブを描いている。人手不足やコスト削減、レジ待ちの解消につながる効果がはっきりと表れていることも大きい」と導入店舗拡大に自信を見せている。

 

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