「ネットスーパーアプリ」リリースでねらう年間EC売上高100億円 ライフが発表したアプリの実力は?

若狭 靖代(ダイヤモンド・チェーンストア 記者)
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 多店舗EC垂直立ち上げプラットフォーム「Stailer」とは

 今回、ライフが協業を発表した10Xは、17年にレシピ検索・閲覧からそのまま食材の注文までが行えるアプリ「タベリー」で創業した企業だ。タベリー自体は20年にサービスを終了したものの、そこで得たノウハウを生かして新たに開発したのが「Stailer」である。

 「Stailer」は、チェーンストア向けの多店舗EC垂直立ち上げプラットフォームで、最大の特徴は、顧客、小売本部、店舗、配送業者それぞれに向けたオペレーティングシステムを一括して提供することができる点だ。例えば、顧客向けシステムとして購入アプリを、店舗向けには在庫管理やピックアップ作業を行うアプリを提供する。これらのシステムの全てを10Xが一括して自社開発するため、スムーズな連携や各チェーンに合わせた細かいカスタマイズの容易さが強みだ。

 今回ライフが導入するのは「Stailer」のうち顧客向けの購入アプリのみ。同アプリは既に、国内ネットスーパー最大手であるイトーヨーカ堂(東京都/三枝富博社長)、広島県を中心にSMを展開するフレスタ(広島県/谷本満社長)などが導入しており、購入頻度や訪問継続率、翌月購入継続率などの引き上げに成功している。

買い回りやすさを重視したアプリ

ライフのネットスーパー用アプリ
実際の操作画面。一覧性が高く、欲しいものを見つけやすい

 「ライフネットスーパーアプリ」の特徴は、「野菜」「お肉」など実際の売場のカテゴライズとリンクしたページを、横スライドで順番に見て回れるようにしたことだ。これによってユーザーは、実店舗で買い回る時と同じようなイメージでアプリ内を巡回することができるという。UI自体もブラウザ版と比較して、画面上部のバナーや「お知らせ」を無くしすっきりさせ、その分表示される商品の数を増やして一覧性を高めた。

 また、個別の商品ページ下部には、その商品を使用したレシピを掲載。もちろん、レシピ内から他の食材もそのままカートに入れることが可能だ。そのほか、繰り返し購入する食材を手早く購入できる「マイリスト」や、購入履歴からの再購入を容易にするなど、“普段使い”をイメージした工夫を盛り込んだ。また、ライフネットスーパーが一部店舗で導入している、一定期間送料が無料になる「使い放題チケット」なども引き続きアプリから利用できる。

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