生鮮EC「クックパッドマート」が拡大中! ネットスーパーにはない強みと新たな収益プランとは
収益モデルの多様化と、黒字化を見据えて
価値観が多様化していく時代において、食材へのこだわりの基準はさまざまだ。クックパッドとしても生鮮商品のマーケティングは難しいため、定期便というかたちでユーザーにアプローチしたと末吉氏は語る。
「日配品のように毎日消費する商品を販売すれば、サービスの利用を習慣化しやすい。さらに、ほかの食材も追加で頼みやすく、利用が促進される。その狙い通り、定期便を展開してからは毎週利用するお客さまが増え、高い評価もいただいている」(末吉氏)
こだわりの卵や食パン、牛乳が税込108円で毎週届くという「お得さ」が反響を呼び、ユーザーは増加した。しかし、昨今の物価高騰もあって、そのぶんは販促予算を充当しているのだという。それに関して末吉氏は、
「試算としては問題ない。今はまだ、流通の仕組みや設備、サービスを充実させるための期間という認識だ。黒字化をめざしてシナリオを実行している過程なので、当面は収益にこだわるつもりはない」と説明する。
続けて「現段階では出品者からいただく販売手数料のみが収益となるが、今後はリテールメディア化など収益モデルの多様化を見据えている」と末吉氏は語る。
ネットスーパーやQCの動向を気にしない理由
昨今はネットスーパーやQCの存在感が増しているが、クックパッドマートではそれらの存在をあまり気にしていないという。
「クックパッドマートは一般的なネットスーパーやQCとビジネスモデルが異なる。定期宅配サービスのクックパッドマートはネットスーパーと異なり在庫を持たないため需要予測をする必要がなく、在庫の廃棄ロスもない。また、ネットスーパーの最大の課題となるラストマイルのコストもかからない。この二点をクリアしているのがクックパッドマートの強みだ」(末吉氏)
今後は、食品スーパーとの協業も重要な戦略の一つとして考えているようだ。すでにクックパッドマートでは、京浜急行電鉄(以下、京急)ならびに同社子会社の京急ストア(神奈川県)と協業し、クックパッドマート上で京急ストアの商品を販売するほか、京急沿線の各駅にマートステーションの設置を進めている。
京急としては、店舗数を増やすことで沿線利用客の利便性を高めたいところだが、すべての駅に「京急ストア」を出店するは難しい。駅前に「京急ストア」がない駅にマートステーションを設置することで、近くの駅にある店舗で扱う商品を受け取れるようにしている。
こうした取り組みを広げていくことで、「人々の毎日の食卓に貢献したい」と末吉氏は意気込みを述べる。
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