利益率29%を実現する利益管理の手法とは?北の達人コーポ木下勝寿社長インタビュー【後編】
「5段階利益管理」で赤字事業を切り離す
――木下社長が上梓された「売上最小化、利益最大化の法則――利益率29%経営の秘密」が話題となっています。あらためて利益に対する考え方を教えてください。
(注:利益率29%は2020年2月期の数値)
木下 「利益の最大化」というのは基本的にどの企業でもめざしていることですが、利益の最大化と売上の最大化を切り離して考えているのが当社の特徴です。多くの会社は利益を最大化するために売上を最大化しようとします。一方、当社は売上を分析し、「ここの売上を削ったほうが利益が出る」という部分に着目します。細かく事業を見ていくと、「採算の合わないビジネス」はたくさんあります。当社が展開するEC通販事業はそれが可視化しやすく、1件1件の受注にかかったコストを見て、利益が出ないものはやめるという判断をします。つまり「細かくした赤字事業を切り離す」のです。これにより、売上は下がりますが、赤字がなくなるので利益額は上がりますし、利益率も大幅に向上します。
――1つ1つの商品に対する利益貢献度が可視化できるようになっているのですね。
木下 はい。一見売上が大きくても、実は広告費や人件費が大きく利益貢献度が低い商品はありますし、売上は小さくてもリピーターがほとんどで広告費がほぼかかっておらず大きな利益を生み出している商品もあります。こうした分析を、売上高から営業利益までを5段階で可視化する「5段階利益管理」で行っています。利益貢献度が高くても売上が小さい商品は社内で話題になりにくいので、この分析でしっかり把握するようにしています。