コロナ禍の朝食トレンドを探る=食MAP®データ
新型コロナウイルス感染拡大により、「テレワーク推進」「外出自粛」「休校・休園」など生活様式に大きな変化が起きているなかで、あらためて家庭内食に注目が集まっている。そこで、今回は家庭の食卓を連続的に観察してきた食MAP®データから、コロナ禍の朝食傾向を探っていく。
家庭内の朝食需要増加は「大人」に注目
2020年3月以降、新型コロナウイルスの感染拡大により家庭内食需要が大きく増加した。家庭内の個人別に「家庭内で朝食を食べた割合」(以下、「朝食喫食率」)を見ると、前年と比べ大人(主人・主婦)の割合が3月以降増加している。この背景には、ふだん朝食を欠食・外食していた人や職場で朝食を食べていた人などが、テレワーク拡大により朝食を家庭内で食べる機会が増加したことが考えられる。一方で、高校生以下の子供(乳幼児は除く)における昼食喫食率は、休校の影響で3/1~7/29の平均値が前年度21.6%から今年度59.7%へと大幅に増加したものの、3月と5~6月の朝食喫食率は前年と比べ減少し、生活リズムの変化が推測できる【図表①】。
図表① 朝食喫食率の推移(前年同月差)
大人の朝食はトーストとコーヒーが増加
コロナ禍における大人(主人・主婦)の朝食メニューカテゴリ傾向を、1日1000人当たりの出現回数でみると、朝食喫食率の増加により前年と比べ全体的に増加傾向となるが、主食や飲料、果物の増加が大きいことがわかる。一方で、主菜や汁物の増加は少ない。メニュー別にみると、「トースト」や「コーヒー」「カフェオレ」などの増加が大きい。食MAPデータによると、「コーヒー」や「カフェオレ」は「インスタントコーヒー・レギュラーコーヒー」を使用した、いわゆる「手入れ」の出現増加が大きいことがわかっており、テレワークの拡大により朝の慌しい時間に余裕が生まれたことが影響しているのかもしれない。それを踏まえ、「ホットサンドイッチ」の出現が増加している点も興味深い。そのほかには、「ヨーグルト」や「乳酸菌飲料」「ミックス野菜サラダ」の出現も増加しており、免疫力強化やコロナ太り対策などの意識が影響していることも考えられる【図表②】。
今回はコロナ禍における個人別食卓に着目したが、今後新しい生活様式の定着が求められるなかで、大人の食事傾向を把握すると同時に、子供の食事や栄養摂取への気遣いも必要となりそうだ。
図表② コロナ禍における大人の朝食メニュー出現傾向
食MAP®とは、株式会社ライフスケープマーケティングが提供するマーケティング情報システム。1998年10月から首都圏30km圏内在住の主婦世帯を対象に、食品の購買、調理、消費までをパネル形式で調査したもの。
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