あの夢グループともコラボ みやぎ生協、斬新な施策で宅配新規加入1.7倍の舞台裏

文:下田 健司
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みやぎ生協・コープふくしま(以下みやぎ生協、宮城県/尾川輝敏代表理事専務理事)の店舗事業が好調だ。2023年度(24年3月期)、主力の店舗事業の供給高(売上高に相当)は894億円で前年度から6.8%伸びた。新店はなく、既存店のみでの成長によるもので、とくに客数が4.7%増加。24年度に入ってからも店舗の好調は続いている。客数を増やし続けている要因には、みやぎ生協ならではの取り組みがある。

みやぎ生協外観
店舗事業の供給高は894億円で、前年度から6.8%伸びた

みやぎ生協概要
本部所在地 宮城県仙台市泉区八乙女4-2-2
出資金 525億2542万円(24年3月)
供給高 1411億円(24年3月期)
組合員数 97万8900人(24年3月)

既存店売上は23年度6.8%増

 みやぎ生協の23年度供給高は1411億円(旧収益認識基準に準拠、新基準では1320億円)。このうち店舗事業の供給高は894億円で、前年度から6.8%伸びた。新店はなかったため既存店の伸びも同様。とくに客数は同4.7%伸びた。一方、コロナ禍で加入した利用者の脱退もあり、宅配事業は465億円で同0.5%の伸びにとどまった。

 利益面では、経常利益に相当する経常剰余金が22億円で前年度比52.1%増、当期剰余金も14億円(同80.1%増)と大きく改善が進んだ。

 経常剰余金が増益となった要因は、客数増により供給高が増加したためだ。前年度に比べて電気代が下がり、経費が削減されたことも増益につながった。

 ただし、店舗事業は経常剰余金で5億円の赤字で、宅配事業(約31億円の黒字)がそれを補っている。というのも組合活動関連の経費および本部経費は、各事業の供給高に応じて振り分けられるため。供給高の大きい店舗事業で、経常剰余金段階で黒字化するのは容易ではない。

 営業利益を示す直接剰余金では、店舗事業の損益は9億円の黒字だった。みやぎ生協では、直接剰余金ベースでの黒字化が店舗事業の基本だが、中長期的には、経常剰余金段階での黒字化を目標に置いている。

「うんちく」を語る独自の試食販売

 店舗事業の供給高が伸びた要因の一つは、子育て支援、参加型イベントなどによる客数増だ。客数は、競合店の出店攻勢が続くなかで22年後半から伸び続けている。

 一例が、

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