“両極端”のユニクロとしまむら チェーンストア衣料品はどちらに学ぶべきか?

小島健輔 (代表)
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総合スーパー(GMS)などが手掛ける「チェーンストア衣料品」の衰退は、衣料消費の萎縮に加え「ユニクロ」と「しまむら」に売上を奪われたことが大きかった。ならばチェーンストア衣料品が復活するには両者に学ぶべきだが、「両極」の性格を持つ両者のどちらに学ぶべきか? 長らくチェーンストアの衣料品に関わって来たコンサルタントの小島健輔氏が徹底解説する。

ユニクロとしまむら
ユニクロとしまむら、チェーンストア衣料品はどちらに学ぶべきか?

ユニクロとしまむらに奪われた14300億円

 「チェーンストア」と言っても食品やドラッグストア、住関連や家電、アパレルや均一価格雑貨などさまざまな分野のチェーンがある。

 本稿で「チェーンストア衣料品」と呼ぶのは「食品部門を主とするチェーンストアが併設する衣料部門」と定義する。衣食住を網羅する総合量販店(GMS)はもちろん、食品スーパーやコンビニエンスストア(コンビニ)も想定される。

 「食品部門を主とするチェーンストア」に近いのが日本チェーンストア協会に加盟する小売チェーンだ。コンビニは含まない一方で一部のホームセンターも加わるから定義とイコールではないが、衣料品の凋落が顕著に見られる。

 「チェーンストア販売統計」の売上総額が1992年から2023年で88.4%に萎縮する中、食料品の構成比が43.2%から69.9%に上昇した一方、衣料品の構成比は25.6%から5.5%に急落し、92年の39265億円から7402億円と5分の1以下(18.9%)に激減している。

 商業動態統計の「織物・衣服・身の回り品小売業」売上もこの間に56.9%に萎縮しているから相応の変化と言えなくもないが、同率の萎縮ならチェーンストア衣料品売上は22340億円ほどになるはずなのに現実は7402億円だから、さらに14940億円も萎縮したことになる。この間にユニクロとしまむらの国内売上は14300億円も増えているから、チェーンストア衣料品はユニクロとしまむらに売上を奪われたと見て差し支えないだろう。

 では、チェーンストア衣料品はどちらに多くの売上を奪われたのか?

 92年〜2023年の間、ユニクロは8760億円、しまむらは5540億円、国内売上を増やしているから、ほぼ64ぐらいだが、立地によって影響度合いは違ったのではないか。

 両者の影響を測るにも両者に学んで対策するにも、両者の性格とビジネスモデル、運営効率を正しく掴む必要がある。

「両極」にある ユニクロとしまむら

winhorse/istock
winhorse/istock

  「ユニクロ」と「しまむら」(「ファッションセンターしまむら」業態)は商品政策も出店政策もサプライチェーンもロジスティクスも全くの両極にあり、異なるロジックで成功しているから、どちらをベンチマークするかで方向が大きく分かれる。

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記事執筆者

小島健輔 / 小島ファッションマーケッティング 代表

小島ファッションマーケティング代表取締役。洋装店に生まれ、幼少期からアパレルの世界に馴染み、業界の栄枯盛衰を見てきた流通ストラテジスト。マーケティングやマーチャンダイジング、店舗運営やロジスティクスからOMOまで精通したアーキテクト。

著書は『見えるマーチャンダイジング』から近著の『アパレルの終焉と再生』まで十余冊。

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