米国主要3業態の寡占化ランキング、リージョナルスーパーが伸びる理由とは

取材協力:高島 勝秀(三井物産戦略研究所 産業情報部産業調査室 シニアエコノミスト)
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市場占有率大のコピー

英調査会社のユーロモニターによれば、2021年の米国におけるグロサリー市場規模は対前年比1.2%増の1兆2662億ドルだった。本稿では、スーパーマーケット、ハイパーマーケット、コンビニエンスストアの主要3業態にクローズアップし、米国の小売市場の寡占化動向を見ていく。

※文中の数値、業態分類は英ユーロモニターのデータに基づく。データはすべて実店舗のもので、EC売上高などは含まない

SM ●市場規模約5852億ドル
ECへの移行で店舗ベースの市場減

 21年の米国のスーパーマーケット(SM)の市場規模は対前年比1.9%減の5852億ドル(約70兆2240億円:1ドル=120円で換算)。新型コロナウイルス(コロナ)の流行で市場規模が拡大した20年からやや縮小したものの、コロナ禍以前の水準は大きく上回った。上位7社の市場シェアは51.7%で、18年時点の51.2%に比べてやや増えている。

米ミズーリ州セントルイスのスーパーマーケットで買い物をする人
スーパーマーケット、ハイパーマーケット、コンビニエンスストアの主要3業態にクローズアップし、米国の小売市場の寡占化動向を見ていく。写真は4月4日、米ミズーリ州セントルイスのスーパーマーケットで(2020年、ロイター/Lawrence Bryant)

 最大手クローガー(Kroger)は21年度の売上高が同0.2%増と引き続き好調であるにもかかわらず、店舗ベースでの市場シェアが18年から21年で1.3ポイント減少した。21年度のEC売上高が対19年度比で2.23倍に拡大していることを踏まえると、ECへの移行がすすんだ結果、店舗ベースでの市場シェアがやや減少したと推測される。

 コロナ禍では、遠方の大型店に出向いて時間をかけて買物するよりも、近隣の店舗で必要なものを短時間で買い揃える傾向が強まった。

 このような消費者の購買行動の変化に伴い、地域に密着したリージョナルチェーンが市場シェアを順調に伸ばし続けている。フロリダ州、ジョージア州、サウスカロライナ州など、南東部7州で展開するパブリックス(Publix)のシェアは18年時点の6.8%から21年には8.0%に拡大し、シェア3 位のアホールド・デレーズ(Ahold Delhaize)に迫りつつある。また、テキサス州とメキシコで420店舗以上を運営するHEバット(H-E-B)、中西部8州で285店舗以上を展開するハイヴィー(Hy-Vee)、ニューヨーク州を中心に北東部で106店舗を運営するウェグマンズ(Wegmans)も18年から21年で市場シェアが伸びた。

 17年8月にホールフーズマーケット(Whole Foods Market)を買収したアマゾン(Amazon.com)では、市場シェアが18年時点の3.0%から21年に2.7%へと減少している。ホールフーズマーケットの511店舗に加え、自社のレジレス店舗「Amazon Go(アマゾン・ゴー)」やレジレス型食料品店「Amazon Fresh Store(アマゾン・フレッシュストア)」も積極的に出店しているが、さらなるシェアの獲得には結びついていない。

HM ●市場規模約3542億ドル
3社のシェアは95%超実店舗の活用進む

 日本の総合スーパーやスーパーセンターに相当する業態を含めた米国のハイパーマーケット(HM)の21年の市場規模は、対前年比3.2%増の

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