沖縄でマルチフォーマットで成長する食品スーパー

ダイヤモンド・チェーンストア編集部
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2Fに広い作業場を確保した最新店・野嵩市場

 現在金秀グループは、VISTA555の達成を掲げている。これは売上高1500億円などに加え、“5時退社”も目標の1つ。「食品スーパー業界は人手不足を背景に転換点にある。今後従業員を確保するためには抜本的な働き方改革が必要」(中地社長)と考え、その実行に向けて様々な施策に取り組んでいる。

 そのため金秀商事は、店内作業の効率化を進めてきた。16年には、自動発注とセルフレジを導入、後者は袋詰めまでを店側が行うのが一般的な沖縄マーケットにおいて画期的な変更だった。袋詰めをやめ、セミセルフを導入したところ、レジの生産性は1.6倍になった。「お客さまを待たせるストレスがなくなり、レジの効率が上がった分、『お客さまと笑顔で会話しましょう』、『会話に時間を割きましょう』と言っている」(中地社長)。

 そして、現在取り組んでいるのがマルチタスク化であり、マルチタスクを前提としたレイバースケジューリングプログラム(LPS)の構築である。

 「お互いの時間を融通し合うマルチタスクを16年からスタートしており、現在では、それをより効率的に仕組みに落とし込むためのLSPづくりを行っている」(同)

 これにより同社は、ピーク時間に従業員が売場や作業場にきちんと残せて、できたてを提供しつつ、所定の労働時間内で全員が効率的に働ける体制を整えたい考えだ。

 さらに17年10月からは総菜の加工などを行うかねひでフードセンターを稼働。アウトパック総菜の充実だけでなく、キット化して店舗に商品を送り込むなど、人時低減と売場の充実に大きな役割を果たしている。

 

小型新業態とツルハドラッグの展開

 働き方改革を進め、持続可能な企業づくりに邁進する金秀商事。今後の成長戦略は主に、小型新業態の確立と多店舗化、フランチャイズ(FC)事業の推進が挙げられる。

 前者は14年に1号店をオープンした小型店のジップマートだ。当初は都市型小型店をイメージしていたが、それだけに止まらず買い物不便地帯の閉鎖商圏などにも積極的に出店していく。18年11月に2号店となる美原店、翌12月に宜野座店をオープンした。阪神タイガースの1軍キャンプ地としても知られる宜野座。その人口は約5700人と少ない、ルーラル立地への出店である。食品スーパーの出店立地も限られるなか、積極的に出店の幅を広げることで、店数を増やしていきたい考えだ。

 後者はツルハホールディングス(北海道/堀川政司社長)と提携して行うフランチャイズ事業である。19年3月には1号店、ツルハドラッグ宮城店を浦添市内にオープン。食品スーパーとドラッグストアを融合させた新形態の店舗開発を進めることも考えている。

 金秀商事では、3年で50店舗、5年で100店舗の出店を目標に掲げている。

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