数字で見る米国の変化 EC普及が一気に進み、バックエンドのDXが進展
ここ数年、米国リテーラーを取り巻く環境は大きく変化している。人手不足や物価高、物流費の高騰を受け、流通企業はサプライチェーンの効率化やバックエンドのDXに取り組む。リアル小売業によるEC強化もコロナ禍を経て拍車がかかった。
会員サービスで顧客の囲い込み
図表①は主な米国リテーラーの最新の業績である。おおむね増収となっているが、営業利益は増益企業と減益企業ではっきりと分かれている。ここ数年、米国流通業を取り巻く環境に大きな変化があった。それに合わせて、大手小売企業は大きく3つの対応を行った。
まず1つめは、従業員の賃金上昇だ。これはコロナ禍以前から続いている深刻な人手不足対策である。会員制ホールセールのコストコ(Costco)は2021年に2回にわたり最低賃金を引き上げ、10月には最低賃金(時給)を17ドルとした。スーパーマーケット大手のターゲット(Target)は22年3月に時給の上限を引き上げ。店舗や本社に勤務する従業員を対象に、15~24ドルの間で時給を設定した。これは日本の小売企業と比較すると、2倍近い水準である。
2つめは、プライベートブランド(PB)による価格訴求、ディスカウントストアの台頭である。図表②は世界のインフレ度合を示す消費者物価指数の推移である。米国はコロナ禍、ウクライナ戦争によるサプライチェーンの停滞などにより、21年、22年と急激なインフレに見舞われている。その中で、低価格を訴求することで他社から顧客を呼び込む戦略をとる小売企業が増えているのだ。
DXの新潮流 の新着記事
-
2023/02/28
数字で見る米国の変化 EC普及が一気に進み、バックエンドのDXが進展 -
2023/02/27
顧客接点を拡大するD2C戦略、リアル店舗との棲み分けに手応え=花王 -
2023/02/25
食と健康の専門性×デジタル カスミの総力を結集した新業態 -
2023/02/24
ネットスーパーシステムも内製化、IT子会社軸に経営戦略をデジタルで支える! -
2023/02/23
店舗、システム、販促……「CXとEXをともに満たすDX」へ=イオン九州 -
2023/02/22
製・配・販をつなぐメディア横断のネットワークを本格稼働=D&Sソリューションズ
この特集の一覧はこちら [12記事]
関連記事ランキング
- 2023-06-08アメリカ小売業トップ10社ランキングに見る、大手企業の最新動向!
- 2021-03-22SDGsで先行する欧米食品スーパーの現状は?ウォルマート、クローガー、テスコの事例を紹介
- 2024-11-01日本展開に意欲!英テスコがネットスーパーの“外販”開始、高い実力とは?
- 2019-05-22奇跡のスーパー マーケットバスケットの旗艦店はこんなにすごかった!
- 2022-04-27米国主要3業態の寡占化ランキング、リージョナルスーパーが伸びる理由とは
- 2023-04-19アマゾンゴー米国8店舗閉鎖の理由と、クローガーの年10億 ドルリストラ策
- 2023-09-29インド最大の小売業 リライアンス・リテール、その躍進の秘密と外資苦戦の理由
- 2024-01-20英国でセインズベリーがアルディからシェアを奪取!その手法とは
- 2024-03-12「日本流」台湾へ、テナントと連携したららぽーと台中の新しいSC づくりとは
- 2024-06-06アメリカで相次ぐ、セルフレジの”戦略修正”