「バロー経済圏」構築をめざす! スーパー、ドラッグ、HCを抱えるバローHDのDX戦略とは

文:松岡 由希子 (フリーランスライター)
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ネットスーパーでアマゾンと協業

EC強化の図
自社ECやアマゾンとの協業によりネットスーパー事業を強化する

 店舗を持つ強みを活かしながら、新たな生活様式や購買行動に則して顧客との接点を多様に拡大させるべく、ECも強化している。専用アプリで商品を注文して勤務先のオフィスや工場などで受け取る事業所向けネットスーパー事業「ainoma(アイノマ)」では、サービスを拡充させ、ユーザー数も順調に伸びてきた。

 21年6月には、東海エリアで初めて、アマゾンジャパン(東京都/ジャスパー・チャン社長:以下、アマゾン)と提携。愛知県の一部を対象エリアとし、有料会員制プログラム「Amazonプライム」の会員向けに、生鮮食品、総菜、パンなど、バローの店舗で販売する数千品目の商品を取り扱う即時配送サービスを開始した。小池氏はアマゾンとの協業について「従来、バローが十分にアプローチできていなかった客層を新たに取り込めている。新たな知見や気づきを得る機会にもなっている」と評価している。

 小売業がDXを推進するためのポイントとして、小池氏は「何のためにDXを導入するのか、どのような領域にDXを活用するのか、DXの導入にあたって目的やビジョンを明確にすることが必要だ」と強調する。

 DXを推進するためには相応のIT投資も不可欠だが、「現物」と「現場」を基本とする従来の小売業では、無形資産や知的財産への投資にまだ馴染みが薄い。小池氏は、小売業でのDXの推進において「経営陣の理解やサポートがまずは重要」としたうえで、「無形資産や知的財産、人材を武器とするこれからの小売業のあり方を広く理解してもらうべく、社内での地道な啓発活動も必要だ」と述べている。

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松岡 由希子 / フリーランスライター

米国MBA 取得後、スタートアップの支援や経営戦略の立案などの実務経験を経て、2008年、ジャーナリストに転身。食を取り巻く技術革新や次世代ビジネスの動向をグローバルな視点で追う。

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