労働者の高齢化とロボット活用に強い相関=米研究
[16日 ロイター] – 世界で高齢化が最も急速に進んでいる地域では、ロボットが人間に代わって働くようになるペースが最も速いとの最新研究論文が発表された。
論文は、米マサチューセッツ工科大学(MIT)のエコノミスト、ダロン・アセモグル氏とボストン大学のパスクアル・レストレポ氏が作成。60カ国の人口・産業統計から、産業の現場を中心に21─55歳の労働者に対する56歳以上の労働者の比率とロボット使用の度合いを比較したところ、両者に強い相関関係があるとの結論が導かれたという。
国ごとのロボット活用度合いの差異をもたらした要素に年齢が占めた割合は35%にもなったという。
アセモグル氏は、ロボット採用において「高齢化は大きな要素」と説明した。
労働者1人に対するロボットの比率で見ると、韓国やドイツなど労働人口の高齢化ペースが速い国では世界最速ペースでロボットが導入されるとの傾向はかねてから見られており、今回の研究結果とも一致している。
アセモグル氏は、「米国は、ソフトウエアや人工知能(AI)など多数の部門で技術的に優位に立っている。しかしロボットに関しては、ドイツや日本、最近では韓国などの国のほうが進んでいる」と述べた。
同氏によると、世界のロボット企業上位15社中、日本とドイツを拠点とする企業がそれぞれ7社あった。
米国の国内でも同様の相関関係が見られた。より高年齢の労働者が働く都市圏では、1990年以降ロボットが大々的に導入されている。
研究では、米700都市圏を分析。インテグレーターと呼ばれる産業ロボットの設置・維持を手掛ける企業の数を地域のロボット活用度合いの指標に使用した。
その結果、地域で高齢化が10%ポイント進むと、インテグレーターのプレゼンスが6.45%ポイント高まった。