[14日 ロイター] – 米アップルは14日、iPhone13を発表した。搭載チップを高速化しカメラ機能を強化する一方、価格は据え置いた。また、次世代通信規格「5G」に対応したiPad miniの新機種も発表した。
今回は大ヒットにつながるような機能や製品が発表されなかったが、アナリストらはiPhoneXなど旧機種からの買い替えが進むと予想している。
iPhone13には「A15バイオニック」と呼ばれる新しいチップが搭載され、カメラが文字に向けられたことを自動的に検知したり、動画撮影時に自動的にフォーカスを変更するシネマティックモードなどが実装された。また、ディスプレーが向上し、バッテリー寿命が伸びたほか、より高速の通信を実現する5Gアンテナと無線コンポーネントも搭載され、5色のカラーバリュエーションが用意された。
価格はiPhone13が799ドルから、iPhone13 miniが699ドルから、Proが999ドルから、Pro MAXが1099ドルから。発売開始はいずれも24日。
価格は昨年から変更されなかったが、AT&Tなどの通信キャリアの一部は顧客が旧機種を下取りに出し、分割払いプランに申し込む場合、追加料金なしで新機種を提供する。
クリエイティブ・ストラテジーズのコンシューマーテクノロジー部門トップ、ベン・バジャリン氏は、アップルや通信キャリアが顧客を維持する方法として、積極的な補助金や下取り策が広がると想定。「このような手法はアップル独自のもので、アップルと通信キャリアの販売サイクルを維持するための強みになっている」と述べた。
同時に発表された腕時計型端末「アップルウオッチ」のシリーズ7では、ディスプレーの大型化と充電の高速化を実現した。価格は399ドルからで今秋以降に発売される。
iPad miniの新機種では5G接続機能を搭載するとともに、デザインを上位機種のiPad AirやiPad Proと同様の外観に変更した。TECHナリシス・リサーチのトップ、ボブ・オドネル氏は、今回はiPad miniの新機種発表が最もサプライズだったとし、携帯電話よりもアプリをパワフルに扱える5G対応のデバイスを求める顧客の関心を引くことができると述べた。
ベースモデルであるiPadの新機種も発表され、在宅勤務など向けの新たなカメラを搭載した。価格はベースモデルのiPadで329ドルから、miniで499ドルから。ともに来週発売の予定。
発表後、アップルの株価は1.2%下落した。年初来では約11.6%上昇している。
チェリー・レーン・インベストメンツのパートナー、リック・メクラー氏は「革新的なものは何も発表されなかったように見えるが、これまでのように少なくとも消費者に熱狂を引き起こすのに十分な改良が発表された」と述べた。
ボケ・キャピタルの創業者兼最高投資責任者(CIO)、キム・フォレスト氏は、アップルは製品のアップグレードで顧客を維持できるため、派手で意外性のある製品がないことに不安はないとした。