第3回 店舗スタッフにデジタル武器を!Human Touch Technology STAFF STARTの可能性
店舗スタッフに求められるデジタル武装化
OMOが進展すればするほど、企業はオムニチャネル戦略を推進、強化していかねばならない。そして、デジタルツールで武装化したお客様をお迎えする店舗スタッフにも、デジタル武装化が必要だ。この課題感を筆者はMUJI passportをプロデュースした2010年代前半から感じていた。というのも、デジタルには難しい言い方だが、技術受容行動が必要だ。新しいツールやテクノロジーである以上、人は利用前に少し考え、そのツール使うとどんなメリットがあるのか(リスクも含めて)考える。正直最初は億劫な気持ちにもなるだろう。この精神的ハードルを超えてもらうためにマーケターは努力を惜しまない。まさに「テクノロジー嫌悪主義(Technophobic Culture)」をいかに乗り越え、お客様とつながる術を提供するかを、お客様だけでなく、店舗スタッフ、経営陣にも理解してもらう必要があるのだ。特に、店舗スタッフによるデジタルツールの受容と活用がこれからの顧客体験に必要不可欠なのだ。特に小売業においてはいくらお客様が受け入れてくれるデジタルツールも、店舗の人が受け入れてくれないものは、いつか必ず廃れていき、結果お客様にも長く使ってもらえない。この危機感は昔から、いや、昔だからこそ大きかった。
OMOが当たり前になってきている現代。オムニチャネル戦略の実現がもたらす優れた顧客体験を店頭で実現するには、デジタルと接客の融合が大切だ。そして、そのつなぎ役である店舗スタッフの貢献度の可視化も重要なのである。
この課題に対してテキサスA&M大学のメイズビジネススクールで教鞭を執るヴェンカテッシュ・シャンカー教授は、2016年5月に発表した論文で、「モバイルショッパーマーケティング」という考え方を提唱している(図1)。
この図を筆者は多くの講演や、執筆活動の中で多用している。まず、図の上半分はまさにデジタル武装されたお客様の顧客時間、カスタマー・ジャーニーを示している。このようなお客様の買物行動プロセスを、従業員(店員)がモバイルテクノロジーでサポートすること、その評価と、動機付けを会社として実現していかないと真のOMO、オムニチャネル環境の実現はできない。図の下半分は企業と店舗をつなぐシステム連携と評価システムの重要性を示している。店員がモバイルデバイスでお客様に対応するようになれば、店員のパフォーマンス評価の仕組みも変わるだろう。さらに、プロセスをデータドリブンで進められるよう、データマネジメント基盤が求められる。
つまり優れた店舗体験において、テクノロジーを利活用できる従業員の存在が重要になるのである。そして、そのためにはテクノロジー嫌いのままではいられない。もはや商品知識豊富で容姿端麗なスタッフを店舗に配置するだけではモノは売れない時代なのだ。
しかし、このスタッフの技術活用行動や、OMOサポートの可視化に最適なツールがなかなかみつからなかったわけですが、最近日本でも注目すべきツールが登場している。それが、ここで紹介したいVanish Standard社が提供するSTAFF STARTである。
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