第3回 店舗スタッフにデジタル武器を!Human Touch Technology STAFF STARTの可能性

顧客時間 共同CEO:奥谷 孝司
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店舗スタッフを救うために、Human Touchなテクノロジーを。

 ここまで解説してきように店舗、本社、お客様の三方良しのデジタル活用術の導入は喫緊の課題なのである。帝国データバンクの調べによると,コロナ禍における小売、飲食店の人手不足は深刻化している。これらの業界では正社員の過剰感も示されてはいるが、非正社員に関しては、「飲食店」や「各種商品小売」といった個人消費関連の業種が人手不足に喘いでいる。規模別に非正社員が「不足」している割合をみてみると、「大企業」は21.7%、「中小企業」は22.7%、「中小企業」のうち「小規模企業」は22.0%と、企業規模を問わない問題であることもわかる。業種別にみると、「飲食店」が56.4%や総合スーパーなどを含む「各種商品小売」といった個人消費関連の業種が上位に並んでいる。

 オムニチャネル戦略を資金的にも実行しやすい大企業においても人手不足が鮮明になりつつある中,従来の店舗オペレーションにない店舗における「オムニチャネルオペレーション」、店舗スタッフのデジタル武装に積極的な現場が少ないのも理解できる。さらにコロナ禍による経営難に直面する企業も少なくない。しかし、多忙を極める店舗スタッフをいまのまま放置してよいのだろうか?彼らは生産性を求められながらも、彼らを助ける武器はあまりにも少ない。しかしお客様はどんどん進化を遂げている。

 人材難に喘ぐ労働環境の改善がなければ,顧客視点の店頭のデジタル化は進まないだろう。オムニチャネル化する消費者が本当に求めている体験を提供できる企業がどのくらいの今あるだろう。ユニクロがネット注文品を2時間でお引き渡しするサービスを全国で開始した。「デジタル武装」できる企業と、できない企業の差が鮮明になってきた。

 しかし、今回紹介したSTAFF STARTのような企業も登場してきている。リアルを中心にビジネス展開する小売業がこのような購買体験を提供できるようになるためのツールは生まれつつある。リアル企業の怠慢として存在する①低EC 化率 ②Technophobic Culture(デジタル化嫌い)が経営層だけでなく,店頭にもはびこる現状は打破可能だ。小売業は今こそ組織文化を変え,オムニチャネル戦略、OMOに全社で挑戦するリーダーシップや経営者、そしてSTAFF STARTのようなで店舗スタッフの武器を提供してくる企業との連携が必要なのだ。

 現代の買物体験においても引き続き店舗は重要なタッチポイントである。お客様のオムニチャネル化に対応するためのデジタルツールの導入、従業員インセンティブ、研修、費用対効果の検証を小売業の経営陣は今こそ取り組んでもらいたい。それなくしては,デジタル対応された小売業の未来は,すぐそこにあるのにいつまで経ってもこない、そして窮地に追い込まれることになるであろう。

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