伊勢丹、ファンがSNSで自発的に宣伝!イセタニスタが「無償の愛」で活性化する理由
知名度よりも伊勢丹への愛の強さ
第二の特徴は、イセタニスタが必ずしも有名人ではないという点。
同社では2020年10月、自社HPなどを通じて第0期イセタニスタを公募、書類選考などの結果、43人を任命した。イセタニスタの任期は1年で、21年5月には第1期イセタニスタを募集、第0期の継続希望メンバーも含めて約90人がイセタニスタに任命されたという。「今後も毎年約50人ずつ、イセタニスタを増やしていく」(同)予定だ。
現在のイセタニスタの属性を見ると、女性が8割以上を占めるが、年齢は20~50代と分散している。職業もファッション関係のデザイナーや記者・編集者といった“業界人”、会社経営者、医師といった“セレブリティ”もいる一方で、主婦、学生、外国出身者とバラエティに富んでいる。もちろん、中にはその道で知られた人もいるようだが、多くは“一般の消費者”なのだという。
なお、三越伊勢丹グループの社員はイセタニスタになれないが、取引先企業の経営者や社員であれば構わないという。
イセタニスタを選ぶ際、SNSの投稿内容やフォロワー数などはチェックしたが、「最も重視したのが、伊勢丹への愛の強さです」(同)。有名人やインフルエンサーが発信するUGCよりも、伊勢丹への愛のこもったUGCのほうがフォロワーにも伝わりやすく、拡散しやすいと、松岡氏は期待している。
イセタニスタは、SNSの個人アカウントで情報発信するが、「イセタニスタである」と公表し、ハッシュタグをつけることが推奨されている。また、投稿の禁止事項などを定めた活動規約を守ることになっているが、それ以外には特段の制約はない。ちなみに、イセタニスタのフォロワー数は現在、合計で約31万人となっている。