[上海 21日 ロイター] – 中国では政府の新型コロナウイルス対策のあおりで、次世代通信規格「5G」の展開が遅れる見込みになっている。
政府の記録によると、広東省の工業向けインターネット事業や江西省の病院関連事業、甘粛省の警察関連事業など、5Gを活用する大規模プロジェクトの入札は1月31日から延期された。
新型コロナウイルスが発生した武漢市にある光ファイバーケーブル大手2社も、本社や主要生産施設をまだ再開していない。
中国は5Gを国家の最優先事項と位置付け、他の国々に先駆けて全国にネットワークとサービスを拡大することを目標に掲げる。習近平国家主席は感染拡大後の2月初旬、5G関連投資が消費支出減少の穴埋めに役立つと発言した。
ただ、移動制限や隔離が人手不足を招き、物資輸送を阻害する中、通信機器メーカーやネットワーク運営会社は国内他企業と同様に、物流の混乱に直面している。
国内メディアは上級役員が先週語った発言を引用し、中国移動通信の5G基地局建設が昨年12月下旬と今年1月に速やかに動いたと伝えた。ただ、北京にある同社の事業部門はメディアに対し、新型コロナウイルスの感染拡大が5G通信網の整備に影響を与えるのは確実であるとの認識を示した。
米投資銀行ジェフリーズのアナリスト、エディソン・リー氏は「通信会社が光ファイバーケーブルを設置できなければ、基地局の調達を遅らせる可能性が高い」と分析した。