小売、卸、メーカーの垣根を越えた“オールジャパン”でアマゾンに対抗 リテールAI研究会
[インタビュー]“天才エンジニア”に聞く! AIは小売業をどう変えるか?
リテールAI研究会技術アドバイザー 今村修一郎
──いつ頃AIに興味を持ち始めましたか。
今村 4~5年前に機械学習が盛り上がってきたときに興味を持ち、独学で勉強を始めました。初めは、1~10までの数字を画像で認識するために、28×28の576ピクセル(コンピュータが読み込む画像のデータ単位)を使うところから始めました。この画像認識は、スーパーのチラシのパターン分析などで初めて活用しました。
──リテールAI研究会との関わりはいつからですか。
今村 2017年9月からです。勤務先のメーカーがリテールAI研究会と関わっており、前任担当者から引き継いだことがきっかけです。スピードを持って進めたいと思い、メーカーの一社員というより、研究会のメンバーとして動きたい、と思っていたところ、技術アドバイザーという役割をいただきました。同研究会では、各分科会の実験の設計やAIプログラムをつくりました。店頭を使った実験では実際に売上も上がりましたし、やっていて楽しかったです。
──AI活用の実験を進めるうえでどういったことを重視されましたか。
今村 マネタイズとスピードです。マネタイズについては、画像認識の部分は工夫が必要ですが、レコメンド機能を使った棚割り提案などは簡単です。売場全体の売上も上がるし、メーカーのプロモーションにもつながるからです。また、初期導入コストが安いことも特徴です。ほとんどクラウド上でオープンソース化されているからです。レコメンドエンジンなどは「Microsoft Azure」を使えば、1時間当たり数十円しかかかりません。しかも、ほとんどチューニングする必要もありません。
スピードについてですが、初期導入コストの安さの裏返しで、参入障壁が低い分、誰でも簡単に参加できます。ですから、スピード感を持って進めていかないと、どんどん追い抜かされてしまいます。
──初期コストが低いにもかかわらず、AIを実践で活用している企業はまだ多くありません。どのような要因があると思いますか。
今村 いろいろな業界を見てきましたが、メーカー、小売業はとくにAI活用では後れを取っていると思います。後塵を拝すようになった理由は、今あるビジネスモデルを破壊するのが怖いからではないでしょうか。本格的にAIを活用するようになると、大部分の人が不要になります。労働集約産業である小売業はその部分で変わりにくいのかもしれません。
──オープンソースで初期コストが低いとはいえ、AI がわかる人材が必要ではないでしょうか。
今村 はい。今、人材育成が喫緊の課題だと思っています。最近のAIブームで、メーカーでは技術がわかる人を育成しようという動きが活発化しています。
小売業はAI活用が遅れてきた分、普及し始めると一気に変わるはずです。われわれがやらなくても、放っておけば数年後にはグーグル、アマゾンがすべて変えてしまいます。リアル店舗を持っているという強みを生かして、スピード感を持って変えていく必要があります。
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会場
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東京都千代田区 神田神保町1-6-1タキイ東京ビル7階 TEL:03-5259-5933
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