オオゼキはDXでどのように従業員満足度を高めているのか?

染谷 剛史 (HataLuck and Person代表取締役)
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情報伝達の課題をアプリで解決

 これまで小売の現場のオペレーションは、本部担当者から店舗までの情報共有と、店長もしくは部門責任者のマンパワーによって支えられてきました。当社の調査によると、とくに実際に店舗で作業を行うアルバイト・パート社員への情報共有は「大学ノート」や「口頭」といった脆弱な手段のままで、それを補うツールは私用のプライベートチャットアプリなどでした(図1)。

図1:業務に必要な情報の入手方法
図1:業務に必要な情報の入手方法

 オオゼキでも同じような状況で、業務連絡が一人ひとりにうまく伝わらない、伝わるのが遅い、伝わったとしても店舗によって浸透度にムラがあるなどの課題がありました。そこで取り組み始めたのが、業務用情報伝達アプリの活用です。個人の携帯端末にアプリをダウンロードしてもらい、本部や店長、部門責任者からの業務連絡はもちろん、従業員自身も、日常業務の出来事や工夫を投稿できる環境を整備しました。

 こうしたITツールの活用によって、店舗の従業員一人ひとりへの情報伝達の質や頻度を向上させることが可能になりました。とくに一連の購買体験の価値を最終的に印象付けるレジ部門においては、マニュアルではカバーし切れない細やかなコミュニケーションが求められます。コミュニケーションの質と頻度、スピードが向上し情報が行き届くことで、チェッカー一人ひとりが自信を持ってレジに立つことができます。その結果、各自の行動や姿勢が、いわば「メディア」となり、顧客のファン化やリピートを生んでいるのです。

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記事執筆者

染谷 剛史 / HataLuck and Person代表取締役
1976年、茨城県生まれ。大学卒業後リクルートグループに入社。アルバイト・パートの求人広告営業を経て、営業企画・商品開発を担当。2003年、株式会社リンクアンドモチベーションに入社し、サービス業の採用・組織コンサルティングに従事。2012年に同社の執行役員に就任し、新規事業開発やカンパニー長を歴任した後、2017年にナレッジ・マーチャントワークス(現HataLuck and Person)を設立。

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