閑散地域の頼れるドラッグストア!「クリエイトSD倉見才戸店」視察レポート
今こそ考えたい「本来のドラッグストア」の姿
前述のとおり、同店はフード&ドラッグであるため、青果、肉、魚、日配、米、酒類などのスタンダードな食品を網羅した品揃えとなっている。視察時期が秋口ということもあって、青果の導入部には「青果大放出セール」と題して、鍋のお供であるキャベツやニンジン、長ネギなどの野菜を格安で販売するなど、食品スーパーを代替する機能も備えている。ドラッグストアが食品スーパーの機能を兼ね備えるのは、大変便利だ。しかし、売場を巡回して気付いたことがある。
それは「ヘルスケアの機能がおろそかになっていないだろうか」という点だ。視察中、店舗スタッフの多くが、食品コーナーの巡回・品出しに従事しており、医薬品コーナーにはスタッフがひとりもいなかった。
ドラッグストアは本来「健康と美容に関する提案と訴求を主」(日本チェーンドラッグストア協会『ドラッグストアの定義』より抜粋)とする店であり、必要であればカウンセリング、あるいは相談ができる環境でなければならないと筆者は考えている。
その点で、この倉見才戸店は売場が広く、市販薬の相談をしたいときにスタッフをすぐに呼べない点が気になった(医薬品売場から食品売場にいるスタッフを呼ぶのはあまり現実的ではないと思ってしまうくらいの距離があった)。定番売場の各所でスタッフ呼び出しボタンが設置してあったようだが、本来のヘルスサポートとはかけ離れているように筆者は感じてしまった。
この店をやり玉に上げてしまったが、昨今勢いを増しているフード&ドラッグという店舗形態は、「食品を多く扱ってほしい」というニーズに応え続けたが故に、ヘルスサポートの利便性が欠けているようにも思う。
繰り返しになるが、食品スーパーの機能を持つドラッグストアは大変便利だ。筆者もフード&ドラッグをよく利用し、その便利さの恩恵を受けている。しかし、ヘルスサポートのサービスを削ってまで食品を扱うべきなのか。扱うとしても、どこまで手広くしていくのか、筆者は疑問を抱きながら他店を視察したり、時には自店の現場で働いている。
働き手が少なく、必要数のスタッフを配置できない問題も重々理解している。しかし、市販薬乱用といった業界全体の問題も抱えている今こそ、“ドラッグストアらしいドラッグストア”に原点回帰すべきではないのだろうか。