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約3年ぶりの新規出店は葛飾区初出店の小型店!「 スーパーベルクスお花茶屋店」の売場を解説

東京・埼玉・千葉の1都2県で店舗展開するサンベルクス(東京都/鈴木秀夫社長)は2023年4月1日、東京都葛飾区に「スーパーベルクスお花茶屋店」(以下、お花茶屋店)をオープンした。2019年5月開業の「島忠春日部本店」(埼玉県春日部市)以来、約3年ぶりの新規出店となった「お花茶屋店」はどのような店なのか。現地に足を運んだ。
調査日=4月26、28、30日 ※本文中の価格はすべて本体価格

スーパーベルクスお花茶屋店の外観

葛飾区初出店!

 東京都足立区に本部を置き、食品スーパー46店舗を展開するサンベルクス。2022年度の売上高は964億円で1000億円が目前に迫る。今回オープンした「お花茶屋店」は東京都葛飾区、京成電鉄本線「お花茶屋」駅から歩いて7分の場所にある。

 店舗は桜の名所として知られる「曳舟皮親水公園通り」に面した住宅街の一角にある。ボーリング場の跡地をスクラップして新規に出店。1階部分が駐車場、2階が売場のピロティタイプの店舗で、「スギ薬局」がテナントに入る。サンベルクス部分の売場面積は約400坪(歩測)と同社の標準と比べると小ぶりな店舗であるようだ。

生鮮部門の売場スペース構成比
スーパーベルクスお花茶屋店の売場スペース構成比

 売場スペース構成比は、生鮮4部門が35%、日配が25%と生鮮重視の売場となっており、非生鮮は絞られている。生鮮売場のスペース構成比を見ると、青果が40%とダントツで、鮮魚と総菜がそれぞれ21%、精肉が18%と、青果と総菜でお客を呼び込みたいというねらいが透ける。

 売場を見ていこう。1階からエスカレーターを上がった正面16尺のスペースは生花売場となっており、ユリやカサブランカなど春にちなんだ花を豊富に揃える。売場に足を踏み入れると、青果と総菜が一体となったスペースが広がり、2台の催事平台ではキュウリ(6本199円)、ナス(3本99円)、新じゃが(4~5個199円)などの目玉商品を販売する。

スーパーベルクスお花茶屋店の売場レイアウト

 奥に進んだ先の横16尺縦6尺の平台を5台では、各エンドでトマト(1個99円)、キュウリ(1本39円、3本99円)、大根(1本99円)などを価格訴求する。売れ筋は量感を意識した陳列がなされており、つい商品に手が伸びてしまう仕掛けができている。主通路沿いの冷蔵ケースでは、前方24尺でゼリー、グレープフルーツ、カット野菜、サラダ系野菜など、後方24尺で小松菜、ほうれん草、きのこ類、もやしなどを配置する。

自社製のぬか漬け

 鮮魚と隣接する6尺冷蔵ケースでは既存店でおなじみの自社製漬物「漬物専科」コーナー設置しており、国産野菜を使用したぬか漬けや浅漬けを揃える。ぬか漬けは「きゅうり2本」(100円)、浅漬けは「キャベツ(にんにく風味)」「きゅうり(ピリ辛)」(各149円)と値段も手頃で、売り切れ状態の時間帯もあった。

弁当と寿司の存在感大!

 総菜が青果と連動させるかたちで売場を展開する。店舗周辺は住宅街だが、中小企業の事務所や工場も多く、ランチ需要も見込めそうだ。そのため弁当には力を入れており、横6尺縦10尺の平台で299円、399円、499円の価格ラインで各種弁当を販売。調査日は、「ビーフカレー」「本格香味炒飯」(各299円)、「中華丼」「牛カルビ焼肉重」「バラエティ海苔弁当」「めぐみ鶏ジャンボチキンカツ弁当」(各399円)、「ロースとんかつ弁当」「銀鮭幕ノ内弁当」「本格チリソース鶏唐揚げ弁当」(499円)など14品目をラインナップ。開店からそれほど日数が経過していないにもかかわらず、ランチタイムは商品がよく動いており、ねらいは的中しているようだ。

 入口から続く壁面12尺は寿司コーナーで、毎週火曜は「中巻寿司バイキング」(各99円)を実施。調査期間中は「こどもの日」の企画で、「手巻寿司10本」(1180円)、「賑わい手まり寿司セット」(799円)、「本鮪2貫入りにぎり寿司」(799円)なども販売していた。

 フライ類、天ぷら、焼鶏は壁面30尺で、調査日は「コロッケ祭り」と題し、「カレーコロッケ」(1個50円)などを売り出していたほか、夕市で「国産手羽先タンドリーオープン巻き6本入」(389円)、焼鳥(各種1本100円)、ホールピザ(各599円)などを訴求していた平台冷蔵ケースは「和総菜」「サラダ」「麺」などを揃えており、これらは外注での対応となっていた。

 総菜全体をみると、弁当と寿司の存在感が大きく、とくに弁当は強いこだわりを持って商品を製造し、売場でアピールしているように感じた。

人気のベルクスハンバーグ弁当(399円)

 サンベルクスは「八百屋」をルーツとする食品スーパーで、青果の「旬」の追求する姿勢は特筆すべきものがあり、どの店舗も青果は迫力のある売場となっている。とくに野菜はサンベルクスにとっての最重点商品であると見られ、売場では絶対的な存在感がある。

 ヤオコー(埼玉県/川野澄人社長)をはじめ、青果店出身のスーパーマーケット企業は多く存在する。ただ、チェーンの規模が大きくなると加工食品や酒類、菓子などを重視するようになり、「バランス型」の売場となることが多い。バランス型を追求すると、生鮮の魅力が薄くなることが懸念されるが、サンベルクスは売上高1000億円が目前に迫った現在も青果の専門性を追求している。売上や利益を考えると、青果に次ぐ「第2の柱」が必要となるわけだが、お花茶屋店では総菜がその役割を果たしているようだ。

機能的な鮮魚と精肉

 続く鮮魚は右壁面30尺でエビや切身、丸物、奥側壁面24尺で刺身やイクラ、その隣の12尺で明太子、干物などを販売。平台は2台で、前方では切身と冷凍魚」、後方ではマグロ、刺身用サク、うなぎなどを揃える。「冷凍魚」と立体的でコンパクトで買いやすい配置である。

 調査日は「こどもの日」の催事企画で「寿司種セット2~3人前」(980円)、太平洋産地「めばちまぐろ(赤身上)刺身用」(100ḡ399円)、「韓国産活アワビ3個」(980円)などを提供。そのほか、丸物では「きんき」(980円)、「知多」(500円)、「メバル」(480円)など、切身では「海鮮盛り4点」(1000円)などを販売していた。

鮮魚で販売していた「生びん長まぐろさく」(100ḡ199円)

 店舗奥側の精肉は正面壁面40尺で牛、豚、鶏、ひき肉、その隣の15尺で加工肉、平台2台でジャンボパック、加工肉、冷凍加工肉を販売する。毎月29日は「お肉の日」として、黒毛和牛の「肩ロース焼肉用」(100g499円)、「切り落とし」(100g399円)などを日替わりで産地を変えて提供する。輸入牛は「カナダ産アルバータービーフ」をベースに米国産の商品を揃える。豚肉は国産とカナダ産、米国産、メキシコ産、鶏肉は国産にブラジル産を絡ませた構成となっている。各コーナーの下段は大容量のジャンボパックを揃え、「若鶏手羽元」(100g49円)、「牛豚挽肉」(100g99円)など手頃な価格で販売。全体的に“派手さ”はないものの、値ごろが感じられる商品を豊富に揃えており、お客の反応も上々であるようだ。

「豚肉肩切り落とし(ジャンボパック)」(100h99円)など800ḡ前後の大容量が充実する

 後編では、日配、加工食品、酒類などの売場を解説する。

(店舗概要)
所在地 東京都葛飾区四つ木5-17-1
開店日 2023年4月1日
売場面積 約400坪(歩測)
営業時間 10:00~21:00(日曜日9:00)
電話番号 03-6657-6605
アクセス 京成本線「お花茶屋」駅より徒歩7分
駐車台数 40台