グローサラント併設大型店、トリエ京王調布店の売場調査でわかった成城石井の強さの秘密
選べる・発見のある酒類と菓子売場
トリエ京王調布店で、最もお客が集まるのが、中央主通路に面して展開する総菜とスイーツの売場だ。自社製造の商品を中心に、メーカー製の商品をうまく絡めた構成である。
冷ケース29尺では、サラダ、和洋中の総菜、スイーツを販売する。若年層からシニア層まで幅広い層に対応した商品展開で、たとえば麺類は、「にしんの甘露煮そば」(499円)や「フォー・ガー(鶏肉のフォー)」(499円)、「海老といかの大葉ジェノベーゼ風パスタ」(599円)など、和風からエスニックメニューまで提供する。
売場から調理場が見えるように設計された壁沿いの総菜売場では、店内調理のピザや米飯、弁当などを販売する。石窯を使って焼き上げるピザは「モッツァレラと熟成パルミジャーノのマルゲリータ」(699円)など7品目を販売。米飯は「国産牛豚肉Wハンバーグとデミソースのロコモコ丼」(599円)、「海老フライと淡路島産玉葱の卵とじ丼」(599円)など、品質の高い素材を使用しこだわりを打ち出している。総菜売場の隣には一部商品は店内で焼成するパン売場を併設しており、出来たて感を高めている。
一方で、中央主通路の北側のゾーンは約53坪(歩測)で展開。なかでも、酒類と菓子の提案は迫力がある。酒類売場では、ワインは壁面に6尺5段のワインセラーを設置し、直輸入のフランス産を軸に全体で約100品目を揃える。価格帯は約1万~13万円で、中心価格帯は2万円前後だ。ウイスキーも専用鍵付きBOXを設置し、5000~6万円の価格帯でこちらも全体で約100品目を扱う。日本酒は6尺で全国の銘酒を、ビールは国内外のクラフトビールを幅広く扱う。
菓子は、中央主通路に沿って展開するチョコレートやキャンディー、ドライフルーツの売場はインパクトがある。とくにチョコレートは、ベルギーやフランスからの直輸入商品が充実している。一方で米菓や珍味は全国の銘菓が集まり、国内にも隠れた良品があることを気づかせてくれる。
現場の従業員については、20~30代の若い女性が多いのが特徴だ。売場管理には注意が払われており欠品はほとんどない。またレジでは、混雑時も含めて従業員が商品を袋詰めしてくれる。保冷剤を添えたり、割れ物にはカバーをかけたりときめ細かな対応だ。レジ部門では省力化の動きが加速するなかで、成城石井は接客サービスを重視していることが窺える。
平日昼間からお酒とともにランチ

飲食スペースについては、通常は42席だが、現在は新型コロナウイルス(コロナ)感染防止の観点から席数を減らして営業している。
提供メニューも開店時と大きくは変わっていない。食品売場で販売する素材を使った「自家製イベリコベーコンチーズバーガー」や「自家製ローストビーフ丼」(ともに990円)などを中心に洋食メニューを提供。また「成城石井牛乳のソフトクリーム」(250円)などのスイーツ・カフェメニューも用意する。

訪問した平日でもランチタイムには女性客や子供連れなどで席は概ね埋まっていた。
実際にメニューを注文すると驚くほどボリュームがある。さらにグラスワインや看板商品の「成城石井プレミアムチーズケーキ(カット)」などを各200円でセットにできることもお得感がある。すでに利用に慣れているお客が多く、お酒とともに食事を楽しんでいる人が多かった。
総合的に見て、トリエ京王調布店は利用者から高い支持を得ているといえる。その大きな要因は、成城石井の質の高い商品だ。
お客の様子を見ると、それぞれ目当ての商品を目的買いする様子が多くみられ、商品自体にファンがついている。店舗に買物カートの設置はなく、来店客は1つのカゴに収まる範囲で、目当ての商品に、その日気に入った商品を加えて買っているようだ。
グローサラントの定着に成功しているのも成城石井の商品力によるところが多い。店の商品にこだわりやオリジナリティがあるため、その食材を使うだけで付加価値の高いメニューが出来あがるのだ。成城石井には「売りたいもの」、来店客には「買いたいもの」がある。この関係が他のチェーンと比較すると強いということを、トリエ京王調布店の繁盛ぶりから感じた。
成城石井トリエ京王調布店概要
| 所在地 | 東京都調布市布田4-4-22トリエ京王調布A館1階 |
| 開店年月 | 2017年9月29日(金) |
| 店舗面積 | 198.8坪(売場:180.7坪/飲食:18.1坪) |
| 営業時間 | 9:00~23:00 ※SEIJO ISHII STYLE DELI&CAFEは11:00~ |
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