クスリのアオキが示した理想的な生鮮ドラッグフォーマットとは

解説・文:紙谷 佳伸(紙谷コンサルティング事務所代表)
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クスリのアオキホールディングス(石川県/青木宏憲社長:以下、クスリのアオキ)は10月4日、石川県金沢市に「クスリのアオキ百坂店」(以下、百坂店)をオープンした。記念すべき県内100店舗目となった同店は、昨年12月に買収した三崎ストアーからの転換店舗で、クスリのアオキ最大級の売場面積の中で生鮮をフルラインで揃える。同店の売場づくりから、クスリのアオキの最新の「生鮮フルライン店舗戦略」を分析するとともに、地方経済におけるその意義についても考察してみた。調査日:2023年10月31日~11月1日、価格は本体価格

フードとドラッグの売場をシームレスに

 百坂店は金沢市北部、IRいしかわ鉄道線「森本」駅から南西へ約900m離れた国道359号線沿いに位置する。同一敷地内には飲食店とフラワーショップが入居しており、駐車台数は店舗前と隣接地、さらに地下駐車場を合わせて100台を数える。

クスリのアオキ百坂(ももさか)店
クスリのアオキ百坂(ももさか)店 店舗概要
●所在地: 石川県金沢市百坂町ニ25
●営業時間: 9:00~22:00
●アクセス: IRいしかわ鉄道線「森本」駅から徒歩約18分

 大店立地法の届け出では、店舗面積は1795㎡(544坪)で、クスリのアオキとしては最大級のサイズを誇る。旧店舗からバックヤードの位置などに変化はなく、コストを最小限に抑えた転換が行われたようだ。筆者の見立てでは、同規模の食品スーパー(SM)の新規出店コストの4分の1程度の投資で開業したものと推測される。しかし、売場は新店と見紛うような洗練された空間となっており、クスリのアオキの改装・店舗転換のノウハウの高さがうかがい知れる。

 売場図で示したとおり、入口から見て手前側がドラッグストア(DgS)ゾーン、後方が食品ゾーンとなっている。注目は丸数字で示した中央部の通路❶~❼のDgSゾーンと、❽~16の食品ゾーンのゴンドラの向きが垂直になっている。これによってゾーニングを明確にし、広い売場の中でもお客が目的に応じて動線を取りやすいよう配慮がなされている点だ。

売場図

 他方、生鮮フルライン型フォーマットでは食品売場にお客が偏る傾向があるが、百坂店ではDgSゾーンに引き込むために、マグネットを使った工夫が見られた。たとえば、食品売場に面するゴンドラを中央部で分断し、

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