「サフォーククロスラム」で差別化 価値訴求にも力を入れファンを獲得
山口県、広島県、福岡県、島根県で事業展開する丸久。商勢圏では低価格業態が台頭し、競争が激化している。そうした環境下で、精肉部門で差別化商材として活用しているのが羊肉だ。メニュー提案にも力を入れ、着実にファンをつかむ同社の取り組みをレポートする。
安さ以外の価値を訴求
丸久は山口県防府市に本部を構える食品スーパー(SM)企業である。「アルク」ブランドを主力に、中国、山陰、九州エリアで90店舗を展開。各地で支持を獲得する。
ただ、商勢圏では年々競争が激化。とくに生鮮食品の扱いが大きいドラッグストア(DgS)、ディスカウントストア(DS)の存在感が増している。
そんな中、生鮮部門では産地、味、鮮度にこだわった商品を充実。差別化を図る方針である。
精肉部門でも価値をアピールする商品を強化。同社精肉部の森元裕之バイヤーは「DgSやDSといった業態に価格で対抗するのは難しい。これに対し、安さ以外の価値を訴え、当社の店舗を選んでもらえるよう努めている」と話す。
精肉は集客部門である一方、食品における利益の稼ぎ頭としての役割も持つが、差別化商材として扱うのが羊肉だ。低価格業態には並ばない商材として、今後伸びしろのあるラムの強化を図っていく。
「これはお客さまに喜ばれる」
同社精肉部が差別化商材として販売する羊肉は、日本ハムの「サフォーククロスラム」。以前は別メーカーのブランドを扱っていたが、より魅力的な商品を探していたところ昨年8月、取引先から紹介されたという。
「サフォーククロスラム」は、肉用のサフォーク種との掛け合わせが特徴の羊肉だ。ラム独特の香りが少ないうえ、鮮度がよく、しかもやわらかく味もいい。
離乳後は広々とした環境で牧草肥育され、健康志向であるのも特徴だ。森元バイヤーは試食し「これはお客さまに喜ばれる」とすぐに採用を決めた。現在、大型店を中心に20店舗で取り扱う。
同社の精肉売場は、どのようなマーチャンダイジングを展開しているのか。確かめるため、山口県山口市の「アルク小郡店」に足を運んだ。新商品を実験的に販売するなどの施策を行うことも多い旗艦店だ。
精肉売場の一角に、品揃えの一品として展開。定番では「ラムショルダー」「肩ロース」「フレンチラムラック(骨付きロース)」「ランプ」のほか、「味付けジンギスカン」を販売している。
商品にはPOPを添え、価値訴求にも力を入れる。オリジナルのPOPを作成しているのは、日本ハムグループの販売会社、西日本フード中国事業部山口営業部の南部朋子氏。おいしさの理由やメニュー提案などの情報を記載するなど、売場での注目度向上に貢献している。
クリスマスをはじめ、季節のイベント催事などのときにはチラシと連携。さらに取り扱いも40店舗に広げ、集客している。これらの取り組みにより、「サフォーククロスラム」のファンが徐々に増えている。
森元バイヤーは、「競争が激化する中、今後も差別化商材として『サフォーククロスラム』のおいしさを伝えていきたい」と意欲的だ。