インフレ下で低価格PB開発強化するセブン&アイとイオン、拡大戦略の全貌とは
セブン&アイ・ホールディングス(東京都/井阪隆一社長:以下、セブン&アイ)とイオン(千葉県/吉田昭夫社長)は3月から4月にかけて、それぞれ2026年2月期の商品戦略を発表した。両社の商品戦略の肝となるのは価格訴求型のプライベートブランド(PB)商品だ。
原料価格の高騰も続く昨今、両社は低価格の実現に向けたサプライチェーンの見直しにより価格による差別化を図る。
セブン&アイ
セブンプレミアムの年間売上1.5兆円に
セブン&アイは2025年4月、PB「セブンプレミアム」の25年2月期(24年度)年間売上金額が初の1兆5000億円を突破したと発表した。
07年に49品目からスタートし、25年2月末時点の商品数は3460品目に拡大。うち、年間売上金額が10億円を超える商品は315品目にのぼる。
「セブンプレミアム」では10年から、専門店と同等以上の味・品質を追求した価値訴求型の「セブンプレミアム ゴールド」を展開。「金の豚角煮」や「金のビーフシチュー」などを揃え、「金のハンバーグ」は10年の販売開始以来、累計販売数1億7000万食を超えたという。
22年9月には、物価高騰による生活防衛意識の高まりを受け、サプライチェーンの効率化やコスト削減により低価格を実現することで、品質を落とさず価格訴求する「セブン・ザ・プライス」の展開を開始。そのほか、各ブランドで多様なニーズに対応してきた。
26年2月期(25年度)は、「セブンプレミアム」全品目の約半分にあたる約1800品目のリニューアルを計画する。「セブンプレミアム ゴールド」では前年度から売上高1割増、「セブン・ザ・プライス」では品目数を3割拡大し、前年度から売上高2割増をめざす。これらの取り組みで多様化するニーズに対応し、26年2月期は「セブンプレミアム」全体で前年度から500億円増の売上高1兆5500億円を目標に掲げた。

「セブン・ザ・プライス」で価格訴求を図る
今期の目標達成に向けた取り組みの1つとして、セブン&アイHDおよびイトーヨーカ堂(東京都/山本哲也社長)は3 月、「セブン・ザ・プライス」の新商品20品目の発売のほか、25年度の戦略発表を行った。
イトーヨーカ堂でフード&ドラッグ事業部副事業部長を務める土居仁氏は、消費支出に占める食費の割合を示すエンゲル係数が24年に28.3%となり、1981年以来43年ぶりの高水準となったことを挙げ、「お客さまへの意識調査の中でも、節約の対象が食料品へと向いてきている」と危機感を話した。
これを受け、セブン&アイは二極化への対応強化を掲げる。いままでは
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