ワタミの宅食が新商品を発売 高齢者に寄り添う「一食450円」の挑戦

取材・文:阿波 岳 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者)

千葉県香取市で米の生産を開始

 宅食の販売価格を据え置くうえでの最大の課題は、米価の高騰だ。ここ数年は値上がりが続き、今後も高騰が見込まれる。渡邉会長は「米価が対昨年比で60%上昇する中、高齢者を守るために自社農業に本格参入した。56年で宅食事業に必要な米をすべて自社で生産できる体制をめざす」と語る。

 ワタミの宅食事業全体では年間約800tの米を使用している。北海道では既に「ゆめぴりか」を年間330t生産しており、26年からは千葉県香取市でも100t以上を生産する予定だ。

 宅食商品の商品は現在、6075歳向けの「まごころ」シリーズ、疾病対応の「おいしい健康」、共働き世帯向けのミールキット、そのほか冷凍総菜など多彩なラインアップを展開している。今回加わった「好い日の御膳」は75歳以上に特化し、既存顧客の移行と新規開拓の双方をねらう。渡邉会長は「75歳以上のお客さまを新たに開拓すべく、TVや新聞を中心に広告展開を進める」と話し、広告戦略に注力する構えだ。

 さらに、ワタミは「好い日の御膳」で今年度中に新たに2万食を増やし、現在販売している他の商品と合わせて年間24万食から28万食まで拡大する計画を掲げている。渡邉会長は「今後5年で年間40万食、さらに10年で年間50万食の販売を実現したい」と意欲を示す。

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取材・文

阿波 岳 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者

大学卒業後、社会の荒波にもまれる日々を経験。そこで書籍や会報誌の編集に携わるうちに、メディア事業への興味が芽生え、今に至る。
趣味は喫茶店巡りと散歩。喫茶店での一杯のコーヒーや、街角の散策を生きがいとしている。
これまで全都道府県を制覇するという小さな目標を達成した。何かを極めたり、制覇したりすることには、なぜか人一倍の熱意を注いでいる。
最近の悩みは、ここ数年で増えた体重との戦い。健康の大切さを意識しつつも、喫茶店のコーヒーに合わせたスイーツや、ランチの大盛りがやめられない。今日もまた元気に「大盛で!」と注文しつつ、明日こそ控えめにしようと心に誓っている。

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