ワインのプロが解説する、食品スーパーで差別化を実現するワイン売場のつくり方
ワインのプロフェッショナルであるBMO(東京都)代表の山田恭路氏が、全3回にわたり食品スーパーにおけるワインの取り扱いについて解説する本連載。2回目は、食品スーパーが実践するべき、差別化を実現するためのワインの売場づくりを解説してもらった。
ワインの魅力をどう伝えるか
昨今はワイン市場の成長性が注目され、ワインの提案に注力する小売業が多い。とはいえ、「シャトー・マルゴー」のような高級品として広く知られている有名ワインを一般的な食品スーパーで販売するのは難しい。そうした価格面の問題もあって、ワインは「ブランドに頼って売ることができない商材」でもある。
ただ、販売の難易度が高いからこそ、食品スーパーにとってワインは差別化しやすい商材とも言える。とはいえ、バイヤーがコストパフォーマンスに優れたワインを仕入れたとしても、ただ陳列しているだけでは当然売れない。重要になるのは、お客さまに対して「このワインがいかに質のいいワインであるか」を伝える技術だ。
売場のプレゼンテーションはワインの売上を大きく左右する。ワインはSKU数を増やしたぶんだけ売上本数が上がるような商材ではない。たとえSKU数を減らしてでもお客さまに商品の魅力を訴求する、という考えが重要だ。
小さなプライスカードを並べ、ソムリエの資格試験でしか出ないようなワードをキャッチとして羅列するだけでは、誰の目にも留まらない。プライスカードのアイキャッチや丁寧なPOP、計算された陳列順、SKU数、お客さまの動線を考えた区分けボード……などさまざまな工夫が必要だ。