知識が利益を生む!精肉バイヤーは「肉のコンシェルジュ」になるべき理由3つの戦法とは
食肉の需要が多様化するなか、食品スーパー(SM)や総合スーパー(GMS)の精肉売場では、調達の開拓や安心・安全を訴求する商品・売場づくりを行っていく必要がある。とくに精肉バイヤーには、食肉の「コンシェルジュ」と自ら名乗ることができるほどの、商品知識が求められているのだ。
年末商戦で際立った精肉専門店の強さ
年末商戦におけるSM・GMSの精肉部門の売上は低調だった企業が多い。値上げが相次いだ2022年にあって、価格に敏感になった消費者は、牛肉を中心とした高額な買物に対して「1万円単位のお金を払っても、SM・GMSでは思ったとおりの品質の商品が買えないのではないか」と考えたのである。
それは、年末商戦で絶好調だった精肉専門店を見ればわかる。筆者が観察する限り、SM・GMSの精肉売場は閑散としていたのに対して、精肉専門店では行列ができていたのだ。つまり、SM・GMS精肉部門が年末商戦で不調だったのは、単に「お客の節約志向」が理由ではないのである。
なぜ精肉専門店は好調で、SM・GMSは低調だったのか。その理由は、「安心感の差」にあると筆者は考える。品揃えだけを見れば、SM・GMSも黒毛和牛や銘柄豚の「すき焼き用スライス」や「ステーキ肉」といったハレの日向けメニューを展開するなど、精肉専門店とそん色ない売場を展開していた。にもかかわらず、両者にこれだけの「差」がついた理由は、精肉専門店が「確実に支払う金額にみあう品質の商品を提供する」という安心感があったのに対して、SM・GMSにはそれがなかったと考えるのが自然だろう。
精肉専門店の強みは、黒毛和牛や銘柄豚など、高品質の商品を「ふだんの日から」こだわりをもった加工で提供し、値段以上の「おいしさ」「品質」「見栄えのよさ」といった価値を与えている点にある。そうしたふだんの日の営業の積み重ねがお客の信頼感を醸成し、年末商戦という大きな金額が動く期間での結果に結びついた。
つまり、SM・GMSが22年の年末商戦で精肉専門店から学ぶべきポイントは、ふだんの日の営業から、お客に「この精肉売場は、値段以上の品質・おいしさの商品を提供してくれる」と思わせる運営をしていかなければいけない、という単純明快な事実である。
畜種と産地、味の理解が第一歩
では、お客からの信頼を獲得する精肉売場をつくるために、SM・GMSはどのような施策を打つべきなのか。
その第一歩は
精肉MDの新常識! の新着記事
-
2023/02/14
知識が利益を生む!精肉バイヤーは「肉のコンシェルジュ」になるべき理由3つの戦法とは -
2023/02/14
価格と品揃えの広さと深さで他を圧倒!オーケーの精肉売場を徹底分析 -
2023/02/14
精肉に強い食品スーパーはどこ?消費者調査でわかる主要8スーパーの実力と支持される理由 -
2023/02/13
牛一頭買いとプロセスセンター間の連携で実現するライフの精肉MD -
2023/02/13
安さで勝負するドラッグストア「ゲンキーの精肉売場 昨対売上15%増の秘密とは -
2023/02/13
輸入肉に加え、国産豚も相場急騰!原価高の精肉部門がやるべきこと
この特集の一覧はこちら [12記事]
関連記事ランキング
- 2024-12-04ヤオコー、バロー、サミットで明暗 3月期主要SM24年度上期決算
- 2024-12-11強敵が次々商圏に出店!平和堂の戦略と新たなモデル店の成果とは
- 2024-12-12関西を攻めるバロー!大阪で あえて 激戦区に出店した理由とは?
- 2024-12-10EDLPと独自化で対峙!自信あり、ライフの関西オーケー対策
- 2024-12-13地域密着のEDLP フォーマットで迎え撃つ、関西地場中堅小売の戦略
- 2024-11-08怒濤の出店で1兆円が見えたロピア!大きな進化と懸念される副作用とは
- 2024-11-21冷食、京都MD強化 イオンスタイル伏見桃山の売場づくりを解説
- 2024-11-29相場高に負けない!青果部門、2025年春の売場づくり、販促提案!
- 2024-12-07イオン九州の戦略小型店、80坪のマックスバリュエクスプレス下呉服町店を徹底解説!
- 2024-11-20子育て世代をターゲットにするヤオコー川口SKIPシティ店の最新MDを徹底解説