年間120万本! 成城石井「プレミアムチーズケーキ」を生んだパティシエ4年の信念
クリームチーズはオセアニア産を厳選
実は、プレミアムチーズケーキは、入社時から構想を温めていた。
「これはどこの職人もそうだと思うんですが、いろんなところで何か閃いたらノートに書きためていったりして、これは絶対においしい組み合わせだ、いつかこういうものを作りたい、と考えていたりするんですよ」
それが3層のケーキだった。きび砂糖を使用した素朴でナチュラルな甘さのスポンジ生地があり、クリームチーズをベースにアーモンド、レーズンを加えたチーズケーキ生地があり、表面にはアーモンドプードルで作ったサクサクとしたシュトロイゼルという3層。
「一つひとつのパーツもおいしいんですが、3層になると食感の差が生まれるわけです。さらにチーズケーキの中に入っているレーズンのちょっとした酸味と甘み、アーモンドのスライスした歯ごたえ。クッキーとして食べてもおいしい表面。ただ、成城石井でこれだけ売れていなければ、こんな形のチーズケーキは誰も見たことがなかったんじゃないかと思うんです。実際、今は食べ慣れていますけど、けっこう重たいですしね(笑)」
入社から4年。成城石井のスイーツへの信頼が高まっていく中で、満を持して企画を出す。素材にもこだわり抜いた。スポンジ生地には、きび糖を使った。
「きび糖の素朴な味わいが好きなんです。白砂糖ですっきりさせるよりも。値段は高いですけどね」
きび糖は白砂糖の倍近くする。クリームチーズもいろんなものを試した。
「有名なブランドのものなども試しましたが、最終的にはオセアニア、オーストラリア産のものを選びました。ヨーロッパ、フランス産のものほど癖がないからです」
土地によって牛のミルクの味が違うのだという。仕上がってくるチーズの味も、それに伴って違ってくるのだ。
「その中で、一番安定して安全な工場で作られているメーカーさんのものを使っています」
バターをふんだんに使い、シュトロイゼルの部分もアーモンドプードルが30%以上入っている。
「アーモンドプードルは、小麦粉に比べたら相当、高価です。実はアーモンドプードルを入れなくても同じような状態にはなるんです。だから、同じようなものを作ろうとするときには、真っ先にアーモンドプードルの比率を下げるでしょうね」