第2次からあげブームは2つの専門店の東京進出から始まった!=連載:深掘りすれば見えてくる

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2009年に大分の人気店が開店メディアが注目、時代も後押し

 第1次からあげブームが巻き起こっている。始まりは2009年、からあげ専門店の激戦地・大分県から2つの人気店が東京進出したことがきっかけだ。5月、からあげの聖地・中津市の「元祖 中津からあげ もり山」が、東京都目黒区(学芸大学)に関東初の店舗を出店した。12月にはからあげ専門店発祥の地・宇佐市の「大分唐揚げ専門店 とりあん」が東京都品川区(戸越銀座)にオープン。大分発のしっかり漬け込んだ濃い味で薄衣、大ぶりなからあげは話題を呼び、メディアが注目。からあげブームに火が付いた。

 「おいしさはもちろんのこと、からあげに専門店があるという驚きも人気に拍車をかけました。さらに、時代的な背景も追い風になりました」(八木氏)

 そのポイントは3つある。まず1つ目は08年のリーマン・ショックだ。2つの専門店が東京進出する1年前、世界規模の金融危機となったリーマン・ショックが勃発。日本でもデフレ不況に陥り、消費者の節約志向は顕著になった。「巣ごもり消費」や「弁当男子」「おつまみ男子」などが話題になるなど、外食から中食&内食へのシフトが加速。本格的な味をテイクアウトして食べる専門店のからあげは大いに支持されたのである。これを受けて、異業種から参入する企業が続出、からあげの専門店は増えていった。

 2つ目は、10年の口蹄疫問題だ。口蹄疫ウイルスによる家畜伝染病が流行し、牛肉、豚肉離れが発生。鶏肉の需要が高まったこともからあげブームを後押しした。

 3つ目は、11年の東日本大震災だ。節電も影響して、家庭で揚げ物をするのをためらう人が増え、専門店のからあげはますます定着していった。

 「からあげブームは専門店の東京進出によって始まりましたが、11年以降は居酒屋チェーンやコンビニチェーンもブームの拡大に一役買っています。そのきっかけは、震災によって鶏肉の主要生産地だった岩手県が被災したことで、ブラジル産鶏肉を大量に輸入したことが挙げられます。鶏肉の供給増を活用し、居酒屋チェーンがからあげメニューを推進。スーパーや弁当チェーンもからあげ商品に注力し始めたことから、からあげはより身近な存在へとなっていたのです」(八木氏)

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